遺言で家族に対する思いを伝える~付言の活用~

こんにちは。司法書士の加藤隆史です。そろそろ梅雨入りしそうですね。ひとつ不思議な話として、雨の日は晴れの日と比べると事務所の電話が鳴ることが少ないです。どうしてでしょうか!?雨の日は、みなさん億劫になるのでしょうかね。

それでは、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、遺言書に付言を入れるということを書いていきます。「付言」といわれてもなんのことか分からない方も多いかと思いますので、丁寧に解説していきます。

付言とは

遺言書に財産の分配などを書いておくことで法的な効力が生じます。つまり、法律により、遺言書には定めることができる事項というのが定められています。逆から言いますと、遺言書に書いても法的な効力が生じないこともあります。その一つとして付言事項というものがあります。例えば、家族に感謝の気持ちを伝える、また、どうしてこのような財産分配にしたかという理由を伝えたいときに活用します。付言事項には、法的な効力は生じません。つまり、相続人は付言の内容に縛られないということです。しかし、故人の最後の言葉として尊重しようという相続人も多いです。

付言の活用事例

例えば、葬儀や法要のやり方を指定する場合に付言を入れるとしたらどのようになるでしょうか。

葬儀の方法を指定する場合

  1. 遺言者の葬儀は仏式で行うこと。なお、〇〇寺の住職であるAに、遺言者の葬儀における読経等を行うよう依頼したので、遺言者の葬儀の要領についてはAと相談の上、決定すること。
  2. 参列者は、遺言者が別途作成した「参列者名簿」に記載した親族のみとする。当該親族以外の者から参列の申し出があった場合であってもすべて断ること。
  3. 参列者以外の人々に対しては、遺言者の死後1か月を経過してから、挨拶状により遺言者死亡の事実を知らせるものとする。なお、挨拶状は、少なくとも遺言者が別途作成した「挨拶状送付先名簿」に記載した者に送付するよう希望し、その余の送付先については祭祀の主宰者に一任する。

葬儀を希望しない場合

  1. 遺言者は遺言者の死後、宗教的、習俗的な儀式による葬儀を執り行うことは希望しない。

散骨を希望する場合

  1. 遺言者は、遺言者の遺骨を灰にして、遺言者の生誕地である〇〇の沖合の海上に散骨するよう希望する。
  2. 遺言者の散骨のための費用は、遺言者の祭祀の主催者である妻Aに相続させた遺言者名義の預貯金の中から支払いに充てるよう希望する。

※ 散骨は、墓地埋葬法に反しないことが前提です。

そのほかにも、永代供養の依頼ペットの世話の依頼などにも付言は利用されます。

争族対策にも有効

付言は、争族対策にも有効です。単に財産の分配のみしか書いていない遺言であれば、なんでこう分けたんだと相続する割合が少ない相続人が反発するかもしれません。しかし、遺言をのこす遺言者自らが、その理由を丁寧に書き、伝えることで相続人も納得することがあります。遺言というものは、単に財産の分配だけでなく、遺言者の思いをのせた最後の言葉なのです。