相続対策~夫婦間贈与の活用~

こんにちは、司法書士の加藤隆史です。最近は、飲み会が多いです。体調管理には気を付け、家族サービスもしっかりやらないとですね(笑)

それでは、今日のコラム「相続・遺言のポイント」は、夫婦間贈与をとりあげます。夫婦間贈与のご相談は結構あります。特にご主人から奥様に対する贈与が多いですね。この夫婦間贈与をうまく活用すれば相続対策として活用できますので、一つの知識としてもっていただいて損はありませんよ。

生前贈与とは

そもそも贈与というのは、民法という法律に規定があり、「贈与する人と贈与を受ける人が無償で物を譲り受けることを合意する」ことで成立します。いわゆるタダで物をあげるということです。物を受ける代わりにお金を払う売買とは違いますね。そうすると、相続対策として、亡くなる前に全部、相続人にあげてしまえばよいのではないかと思われる方もいらっしゃるかと思います。しかし、日本の法律はそれを防ぐために贈与税という税金を課しています。この贈与税の税率が高いため、なかなか高額な贈与はできません。つまり、亡くなる前には贈与税がかかり、亡くなった後には相続税がかかるので、どちらかで税金をとろうという仕組みです。ただし、亡くなった後の相続税には、高額な基礎控除があるので、ほとんどの方は相続税とは無縁でしょう。しかし、この基礎控除が平成27年1月からは縮減されるので、これからは生前贈与という方法も相続対策として検討する必要がでてきます。

夫婦間贈与の特例

先ほど、贈与税の税率が高いので、なかなか贈与できない仕組みになっていると申し上げました。しかし、贈与税にも基礎控除額が設けられています。贈与税の基礎控除額は年間「110万円」です。つまり、1年のうち110万円の範囲内であれば、贈与税がかからないのです。しかし、相続対策をする方にとって、年間110万円の贈与を行っても焼け石に水かもしれません。そして不動産などの高額な資産は110万円を超える金額になるので、贈与できないことになります。

そこで、夫婦間贈与の特例が使えます。夫婦間贈与とは、「婚姻期間が20年以上の夫婦で居住用の不動産または居住用不動産を購入する資金の贈与が行われた場合、基礎控除額の110万円に加えて2000万円まで控除できるという特例です。つまり、2110万円までの贈与であれば贈与税がかからないということです。ここで、夫婦間贈与の特例の要件をあげておきます。

  • 夫婦の婚姻期間が20年以上あること
  • 贈与される財産が、自分が住むための不動産であること、または居住用不動産の取得に対する金銭であること
  • 贈与を受けたものが、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに現実に居住すること

上記の要件を満たすと贈与することができます。ただし、気を付ける点としては、必ず贈与した年の翌年の3月15日までに贈与税の申告を行わらなければなりません。贈与税の申告に必要な書類は以下のとおりです。

  • 20年以上の婚姻期間を証明するための戸籍謄本
  • 実際に居住していることを確認するための住民票
  • 贈与したことがわかる居住用不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)

相続対策としての夫婦間贈与

上記の夫婦間贈与は、相続対策としても活用できます。例えば、ご主人が一緒に住んでいる奥様のためにご主人名義の居住用不動産を生前贈与しておくことで、ご主人が亡くなった後に相続人のうちの一人に同意がとれなくても安心して居住用不動産に住むことができます。居住用の不動産というのは、生活の基盤でありなくてならないものですので、必ず今まで住んでいる人のために遺す必要があります。また、相続税の対策としても生前に贈与しておけば、相続税を算定する相続財産から除かれますので、相続税対策としても有効です(ただし、亡くなる3年前に贈与したものは相続財産とみなされます。これを見なし相続財産といいます)。

今日は、夫婦間贈与のお話をしました。生涯をともにしてきたパートナーのために自分の死後も生活できるように相続対策をしておくことをおすすめします。