離婚調停中・訴訟中の妻に相続させないために遺言を活用する

こんにちは!司法書士の加藤隆史です。6月も終わりです。一年の半分が過ぎ、私にとってはあっという間の半年でした。それだけ年をとったということでしょうか(笑)

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、私が実務で経験した遺言作成の話をしていきます。

事例

相談者   ご主人

相談内容  ご主人は末期のがんで、いつ急変するか分からない。家族関係は、離婚訴訟中の妻と子が一人いる。自分の遺産は子にすべて相続させたいがどうしたらよいか

        離婚原因は、妻の暴言、暴力、家事放棄

以上が簡単な相談内容です。このような場合、遺言が活用できますが、以下で具体的に検討していきます。

遺言の活用

上記のような相談内容で、このままご主人が亡くなってしまうと、ご主人の遺産は、配偶者である妻と子が2分の1ずつ取得します。離婚協議中であっても離婚訴訟中であっても、離婚が確定していない以上、妻は法律上、配偶者にあたりますので、妻が相続することになります。しかし、ご主人は、離婚したい妻には財産を渡したくはありません。

このような事例で、解決する方法として、「遺言」があります。つまり、自分の財産を子にすべて相続させる内容の遺言書を作成することです。そうすれば、離婚訴訟中にご主人が亡くなっても、妻に相続させないことができます。これで、一見落着かと思うかもしれませんが、もう少し深く考える必要があります。

遺留分の問題

そうです、遺留分の問題です。遺留分とは、亡くなった方の財産のうち一定の範囲で相続人が最低限確保できる相続の割合です。そして、遺留分を主張できる人に、亡くなった方の配偶者も含まれています。そしてその遺留分の割合は、遺産の2分の1です。

そのため離婚訴訟中であった妻が子に対し遺留分を請求されてしまうと、結局、妻に遺産の一部がわたってしまうことになります。遺留分を主張されるとそれに対しては応じなければならないので、なかなか難しい問題です。では、その場合どうしたらよいのでしょうか!?

相続人廃除

この場合、遺言書に、妻を相続人から廃除することを定める方法があります。廃除とは、亡くなる方の意思によって相続権を奪う制度です。廃除の要件としては、亡くなる方に対し虐待し、もしくは重大な侮辱を加えたとき、その他著しい非行があったときです。今回の事例で、妻に暴言、暴力などがあるため廃除が認められる可能性があります。そして、生前に廃除できない場合、遺言書に廃除をすることを定めておくことができますが、その廃除は家庭裁判所に対して申し立てしなければなりません。そのため、遺言には必ず遺言執行者(法律の専門家がベター)を定めておきましょう。今回の事例では、もしご主人が亡くなったとしても遺言執行者が妻の相続廃除の申し立てを行い、また子に対して相続財産の名義変更等の手続きをすることで、問題を解決できるでしょう。

一つ注意点としては、相続廃除は判例上、よほどの事由がなければ認めてくれません。そのため、遺言書に廃除の定めをしていても、必ず廃除されるとは限りませんのでその点注意する必要があります。

今日は、実際の実務で経験した話をしました。実務の話はコラムを読んでいただいている方も興味深いと思いますので、これからも書いていきますね!