司法書士試験と相続実務の違い

こんにちは!司法書士の加藤隆史です。ついに昨日梅雨明けですね、今年は明けるのが早い!また、暑い夏がやってきます、スーツにネクタイが基本の司法書士には少しこたえますね(笑)

さて、今日は年に1回の司法書士試験なのです。一般の方にとっては単なる日曜日ですが、この業界で仕事をしている人にとっては7月第1週の日曜日は非常に重要な日なのです。まさに、人生をかける日なのです。そこで、今日の「相続・遺言のポイント」では、普段の豆知識と違い、司法書士試験と実務の世界、とりわけ相続実務との違いについてお話します。

司法書士試験

いうまでもなく司法書士になるためには、その試験に合格しなければなりません。国家資格なので年に1回、合格率2~3%の難関試験です。つまり100人うけて2、3人しか合格できないわけです。その試験内容とは、午前の部の1次試験で、憲法、民法、刑法、会社法の択一を、午後の部の2次試験で、不動産登記法、商業登記法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、供託法、司法書士法の択一、不動産登記と商業登記の記述式が出題されます。全11科目でこれを午前2時間、午後3時間で行います。まさに一日がかり、試験が終わったころには、ヘトヘトです。

このような難関資格を突破して初めて司法書士となれる資格をもつのです。

試験合格しただけでは実務に通用しない!?

司法書士試験は、他の国家資格に比べて実務に直結する試験といわれていますが、机の上で勉強した知識が、即そのまま実務で通用するというわけではありません。私も合格して司法書士事務所に勤務し始めたころは死に物狂いで仕事を覚えました。まず、司法書士試験は8割とれれば合格しますが、実務では100点があたりまえで、少しのミスが仕事上では信用を失う結果となります。また、実務では、試験で覚えた知識をはるかに超える問題が頻繁に起こります。そのため、知識よりも「調べて結論を出す力」の方が実務ではより重要となります。

つまり、司法書士試験では、法律の考え方、リーガルマインドを鍛えるものであり、実務ではそれに上乗せして調べる力というものが必要となります。

また、試験では不動産登記法が出題されるため、合格者もかなり知識はありますが、不動産登記法には表示登記という分野もあります。これは、主に土地家屋調査士の試験の範囲なので、司法書士試験ではほとんど勉強しません。しかし、実務では当然、表示登記の知識やまた税金の知識も必要です。単に登記をして、あとで税金上のトラブルが発生しては意味がありませんからね。

このように実務ではより司法書士業務の知識+周辺知識が必要です。

相続実務と試験の違い

相続実務において、一番最初に違うと思ったのは、戸籍の読み取りです。実務では、相続人を確定させることは必須ですので、そのため戸籍を読み取って相続人が誰なのか調査します。この戸籍を最初に見たときにまったく読めず、苦労しました。だんだんと慣れてはきますが、昔の戸籍なんかは文字が手書きのため読みづらく、読み取りが大変です。試験では事例が与えられているので、戸籍を読み取る必要はないので、その辺りが異なります。

また、試験で勉強する民法では出題されない、家督相続、隠居という旧民法の知識も必要となります。しかも、今の民法とは相続人の範囲や相続分も異なるので、要注意です。相続登記をずっとやっていない場合は、特に旧民法の知識が必要です。

試験に合格しても相続実務に対応するためには、さらなる知識と経験と慣れが必要です。

司法書士試験の意味

司法書士試験に合格することは人生を大きく左右されることで、非常に重要です。いかに実務ができても試験に合格していなければ、自分の看板で司法書士業務を行うことができないからです。ただ、逆に試験に合格することだけも目標とするべきではないと私は思いいます。試験は最低限司法書士として仕事ができますよという資格があたえられたものであって、それで実際に仕事ができるかというとそうではありません。つねに、その先に司法書士として活躍することを目標において、試験突破のために努力する心構えが必要だと思います。

えらそうなことを書いてきましたが、平成16年に合格した私が、9年間の実務経験の中で感じたことを書きました。

これから、司法書士試験を目指す方にとって少しでも参考になれば幸いです。