非嫡出子の相続分は違憲!?

こんにちは、司法書士の加藤隆史です。一気に気温上昇、熱中症になる方も増えて深刻になってきました。暑さ対策はきちんとしましょうね。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」では、先日ニュースで取り上げられました、「非嫡出子の相続分」について、お話しします。実は、この問題は昔からありました。裁判所は非嫡出子の相続分を嫡出子と区別することは合憲(憲法に反しない)という立場をとっておりましたが、その判例がくつがえる可能性が出てきました。

非嫡出子の相続分

そもそも嫡出子、非嫡出子とはどういうことなのか!?簡単にいえば、嫡出子とは婚姻間の男女の間に生まれた子であり、非嫡出子とは婚姻関係にない男女の間に生まれた子のことをいいます。ここで問題となっているのが両者の相続分です。民法900条には法定相続分の規定ですが、4号の但し書きに「嫡出子でない子の相続分は、嫡出子である子の相続分の2分の1とし」と記載されています。つまり、非嫡出子は嫡出子の2分の1しか相続分がありません。

憲法で定める法の下の平等に違反するのでは!?

昔から上記の規定が、憲法第14条で定める法の下の平等に違反するのではないかと言われてきました。憲法第14条1項には、「すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において差別されない」と規定されています。確かに、婚姻関係にあるなしにかかわらず生まれてきた子にとってみれば、不合理な差別かと思います。

しかし、過去の判例では、この民法900条4号但し書きは、憲法に反しないつまり合憲という立場をとり続けています。下記は平成7年7月5日の最高裁判決文です。

民法900条4号但書前段の規定は、法律婚の尊重と非嫡出子の保護の調整、つまり法定相続分について、婚姻関係にある配偶者とその子を優遇してこれを定める一方、非嫡出子にも一定の相続分を認めてその保護を図ったものであるが、現行民法は法律婚主義を採用しているから、右のような立法理由にも合理的な根拠があり、非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1とすることが、右立法理由との関連において著しく不合理であり、立法府に与えられた合理的な裁量判断の限界を超えたものとはいえないから、本件規定は合理的理由のない差別とはいえず憲法14条1項に反しない。

つまり、過去の判例では、日本の制度上、法律上定められた婚姻(法律婚)という効力を尊重して婚姻間で生まれた子を優遇し、本来、婚姻関係にない男女の間で生まれた子は、相続分はないが、嫡出子の2分の1を相続分として認めることで非嫡出子も保護した規定であるから憲法に反しないという内容です。

しかし、この規定は、旧民法時代、家制度の時代から続いている規定なので、現代の状況に合わないということで、今回最高裁がこの規定は憲法に反するという結論を出す可能性があるということでニュースでとりあげられました。

非嫡出子である当事者の気持ち

私は、たまたまNHKの番組をみて、インタビューに答える原告(非嫡出子)がどういう思いなのか知ることができました。インタビューで、「相続による取り分はどうだっていい、しかし、この規定がある限り、自分が否定されているようだから許せない」ということをおっしゃってました。まさに相続分うんぬんではなく、一人の人間としての尊厳を否定する規定ということを私もあらためて思い知らされました。

今回の判決は9月頃に出るということで、違憲判決がでるかぜひみなさんも注目してください。