遺留分に反する遺言は無効なのか!?

こんにちは、横浜白楽の司法書士の加藤隆史です。暑い日が続きますが、みなさん暑さ対策をしっかりしておかないと熱中症になってしまいますので、お互い気を付けましょうね。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、遺留分についてお話します。遺留分という言葉を聞いたことがないという方もおおいでしょう。今日は、この遺留分の説明と、遺留分に反した遺言が無効になるのかどうかをテーマにします。

遺留分とは

そもそも遺留分とはどのようなものなのか!?遺留分とは、一定の相続人に対して法律上保障している相続分のことです。これだけですとよくわからないかもしれませんが、つまり兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者、子、直系尊属)は、最低限度の相続分を取得することができます。遺留分という制度は、相続人の生活保障という意味もありますので、亡くなった方が遺言によって自由に財産を処分することを規制しているわけです。この遺留分の割合は、配偶者、子は2分の1、直系尊属は3分の1の割合を有します。ポイントは兄弟姉妹は相続人になることができますが、遺留分はないということです。

遺留分減殺請求

この遺留分を主張する相続人は黙っていても遺留分の割合の相続分を取得できるかというとそうではありません。遺留分を侵害して相続した相続人、受遺者に対して、「遺留分減殺請求」という請求をすることによってはじめて遺留分の割合の相続分を取り戻すことができます。この遺留分減殺請求をしても相手が遺留分を戻さない場合は、訴訟によって解決することになりますので、遺留分を主張する相続人は、必ず配達証明付の内容証明郵便で通知することをおすすめします。

遺留分を主張された相続人の対応

このように遺留分を主張された相続人は、主張された遺留分相当の相続分を主張した相続人に戻す必要があります。遺留分は法律上認められた権利なので、これには従わなければなりません。しかし、例えば、不動産を相続した場合に遺留分を請求された時には、通常不動産の共有持分を主張した相続人に戻すことは、ほとんどありません。不動産を共有しても管理、処分につきお互いに制約があるからです。そのため、通常、遺留分を侵害した相続分に相当する金員を相手に支払うことで解決することがほとんどです。しかし、不動産を取得した相続人に現金がない場合が問題となります。この場合、その不動産を売って、売却代金から支払うことも考えられますが、その相続した不動産は以前から亡くなった方と一緒に住んでいた居住地であった場合は簡単に売れるという結論にはなりません。このような時は、相続人間で争いになるので、司法書士または弁護士という法律の専門家に相談することをおすすめします。

遺留分を無視した遺言は有効か!?

ここで今日の本題。遺留分を無視した内容の遺言を作った場合、その遺言は有効か?という問題があります。結論から申し上げますと、この遺言は有効です。しかし、この遺言どおり執行できてもあとで遺留分を主張されるかもしれません。それは遺言によっても防ぐことはできません。

このように遺留分を主張されないような対策として、付言の活用があります。付言とは亡くなった方の言葉、思いを書いたものです。付言になぜこのような財産の分配をしたのか、遺留分を主張しないようにお願いするといったことも書くことができます。仮に遺留分を請求されても、遺言で遺留分の対象となる財産の順番を決めることができますので、このような対策もとることができます。

兄弟姉妹が相続人の場合は、遺言書を作ろうというのは、兄弟姉妹には遺留分がないことも理由の一つなのです。