自分で書く遺言(自筆証書遺言)の注意点

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。年末が近づいてきました。年末が近づいてくると相談件数も増えてきます。何事も年内に解決しようという方が多いですよね。私も年内にやり残したことがないように一日一日大切に業務を行っていきたいと思います。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、自分で書く遺言、「自筆証書遺言」を書くときに注意すべきポイントについてお話しします。本コラムでもお伝えしていますが、専門家の立場からすれば遺言を遺すのであれば「公正証書遺言」をおすすめしています。しかし、実務ではまだまだ自筆証書遺言をもってこられる依頼者(相続人)が多いです。手軽で費用もかからないため利用しやすい遺言ですが、自筆証書遺言には、法律に厳格な要件が定められています。この要件を満たさないと無効となってしまうので注意が必要です。

自筆証書遺言のポイント

では、さっそく注意するべきポイントを説明します。

1.直筆で全文、日付、氏名を書かなければならない
いわゆる他人が書いたものやパソコンで印刷したものは無効です。手が付他人の添え手も書く箇所に手を添えてあげることはできますが、遺言者の手を持って書くことを補助することはできません。ちなみに遺言を書ける用紙にはせいげんはありませんので、チラシの裏にも書くことはできますが、捨てられる可能性もありますのでやめておきましょう。ペンも消えてしまう鉛筆や消えるボールペンで書くのではなく、黒のボールペンや万年筆で書いた方がよいでしょう。
日付は、その日に書いたということを証明するために必要で、「年月吉日」は無効となりますので注意してください。氏名はペンネームでもその人が書いたということが特定できるようであればかまいません。

2.遺言の訂正方法は法律で厳格に定められている。
訂正箇所に変更した旨を付記して署名をして訂正印を押さなければなりません。訂正方法が厳格なので、書き直すことをおすすめします。

3.財産をしっかり特定して書きましょう
例えば、土地の表記で住所を書く方がいますが、住所と地番は異なります。住所でも登記できることがありますが、不動産の場合は登記簿謄本の記載通り、しっかり特定して書きましょう。
また、預貯金であれば、銀行名と支店名、預金の種類、口座番号で特定できます。
財産の表示がしっかり特定できないと実際に名義変更や解約手続きをする際に法務局や銀行から、この記載だとわからないからできませんと言われてしまう可能性があります。

4.分配の仕方について
例えば、800万円の預金について2人の子に半分ずつ相続させたい場合、①「この預金を子二人に400万ずつ相続させる」という書き方と②「この預金を子二人に2分の1ずつ相続させる」という書き方があります。どちらの方が適切かといいますと、②が適切です。①の場合、遺言書を書いたときには預金が800万円ありますが、遺言を書いた以降に生活費で減ってしまう可能性もあれば、投資で増える場合もあります。そうすると、最終的に400万円ずつ分けられなくなる可能性があります。②の場合であれば、預金残高は関係ありません。割合で記載すべきです。


以上のように法律に定める要式を満たすのはもちろん、きちんとした内容で書かなければ、せっかく遺した遺言どおりに手続きができないという可能性がでてきます。自分で遺言を書く場合も以上のような点に注意して、もし可能であれば専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。

次回は、上記4のように遺言の書き方のテクニックをお伝えします。