相続税対策としてのアパート経営(賃貸事業)はやるべきか!?

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。昨日は大雪でしたね。あれだけ大雪なのも十数年ぶりだとか。交通機関にも大きな支障がでて、昨日外出された方は大変だったでしょう。私は自宅にいましたので、さほど影響はなかったです!

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は相続税対策の1つとして取り上げられることが多い、アパート、マンション経営です。よく、税理士さんや不動産コンサル会社に相談に行って、アパート経営をすすめられたという方も多いかと思います。アパート経営って実際どうなのか、やるべきか否かについて私の意見もところどころはさみながら書きたいと思います。

相続対策としての賃貸事業

では、賃貸事業がなぜ相続税対策となるのか簡単に説明しておきます。相続税は、亡くなった方の財産の総額に税率をかけた金額です。この亡くなった方の財産とは具体的には不動産や預金といったプラス財産から葬儀費用などのマイナス財産を引いた金額となります。まあ、単純に言えば、財産が多くある人ほど相続税の負担が重くなるということです。この相続税を減らすためには、財産を生前に減らせばいいわけです。ただし、生前贈与などは贈与税がかかるためなかなかできません。そこで、賃貸事業という方法が財産を減らし、相続税を減らす方法としてよく取り上げられます。

所有している土地の上にマンションやアパートを建築して、第三者に賃貸するということですが、簡単に言えば次のとおり説明できます。

  1. マンションやアパートを建築するため現金を使うことで資産を減らせる。または、金融機関からローンを組むことで債務を増やせるため、相続時にプラス財産からマイナス財産を引くことができる。
  2. 土地の評価について事業用地になるため、軽減特例を使うことができる(相続税の計算上、土地の評価を下げることができる)。
  3. 賃貸収入がはいるため、生前の生活も安定する。また、流動性の高い現金を相続財産としてのこせるので、相続人となる方に分けやすく争族対策ともなる。

こんな感じでしょうか。実際に、上記のようなメリットは実際にあると思います。ただし、賃貸事業を始める全員がハッピーな老後、相続となるかは、そうとはいいきれないかと思います。

賃貸事業の大変さ

よく賃貸事業をやりませんかという不動産業者からの営業がありますよね。このときに必ず上記のような相続税対策のメリットを説明してきます。当然、計画通りにすすめばハッピーな老後をおくれ、相続人にとって幸せな相続となるでしょう。しかし、現実問題として下記のようなことが考えられます。

  1. 賃貸事業は、借りる方がいなければ家賃が入ってきません。そのため、その場所でアパートなりマンションなりを建設して本当に入居者が入ってくるのかということを検討しなければなりません。つまり、その場所に学校があればワンルームに、家族が多ければ家族世帯の好まれるように建築しなければならないということです。事前のマーケティングが大切となります。また、建物が老朽化してきた場合の家賃引き下げなども考えておかなければなりません。
  2. 賃貸事業の場合、多くは不動産業者に管理委託されるでしょう。または、いまはやりの一括借り上げということもされるかと思います。しかし、その建築したアパート、マンションでおきるすべての最終責任者は所有者である建築主なのです。例えば、入居者の一部が家賃滞納しているので訴訟を起こす、入居者の一部が騒がしくてまわりから苦情があるなど、様々なトラブルの最終責任者なのです。管理会社はそのような場合でも対応してくれますが、最終的な責任者となりませんので、対応があまかったり、遅れたりすることもあるかと思います。
  3. 事業承継はしっかりできますでしょうか。管理をまかせているといっても賃貸事業をやっている意識をもつことが重要です。賃貸事業をやっている間に亡くなってしまうことも多いかと思います。そのあとのことを考えていらっしゃるでしょうか。賃貸事業を引き継いでもらうように生前に相続人となる方に説明しておく必要があるでしょう。ローンを組んで建築した場合は、そのローンの債務者も相続人に変更しなくてはなりません。働き盛りの世代には負担が重いため、そのようなことも考えて賃貸事業をやるか否かについて検討する必要があります。

ざっと、あげただけでもこれだけ検討材料があります。賃貸事業は、うまくいけばもちろん大いに有効な相続税対策となります。しかし、最低限上記の点については検討してから賃貸事業を始めるか決めてもよいかと思います。

今後の賃貸事業

ちなみに、今後の賃貸事業はマーケティングが重要となります。これからますます高齢化社会が進みます。そのため、単身者や学生は少なくなるため、そのような方をターゲットするより高齢者向けの賃貸ということも検討してもよいかもしれません。ただし、高齢者向けの賃貸というのはなかなか難しいです。収入も限られるので、家賃保証などをしっかりしないといけませんし、もし亡くなられたときの家財の処分などあらかじめ検討しなければならないことは多いでしょう。例えば、成年後見制度を利用する方法もありますし、いろいろな法制度や行政を通じて対応していかなければなりません。

また、直近ではオリンピックが東京で行われたり、アベノミクスの影響から、資材の高騰や金利の上昇、建築職人の不足など建築費の高騰も考えられます。

相続税対策の一つの賃貸事業といっても、それを実行にうつすには様々なことを考える必要があります。迷われているときは周りの方に相談してみましょう。相続人となる息子さんや娘さんでもよいかと思います。みんなの意見をきいて実行に移した方がよいと私は思います。