後継ぎ遺贈を実現する~受益者連続信託~

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。3月もあと残すところあと1週間です。消費税増税です。そのため駆け込み需要でどの業界も忙しいですよね。なんとか乗り切りましょうね。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、前回に引き続き「信託」をテーマにします。信託とは、自分の財産を「信じて託す」制度です。財産管理の一種ですね。信託には、自分の代わりに財産を託す「委託者」、その財産を管理・処分して財産管理を行う「受託者」、受託者が財産を管理・処分した利益をえる「受益者」が登場します。この信託には、民法の制度では不可能であることが実現することができます。今日はその点について取り上げて書きたいと思います。

遺言では後継ぎ遺贈はできない

子がいない夫婦の場合、兄弟姉妹も相続人となるため、事前に遺言を作成することが多いです。つまり、遺された配偶者の生活のために財産を遺してあげたいという気持ちが強いことから遺言を作る方が多いです。しかし、いったん配偶者が相続した後、その配偶者が死亡した場合、その財産は、自分の兄弟姉妹ではなく、妻の兄弟姉妹(甥っ子、姪っ子)に移ってしまいます。もしこの財産が、先祖代々続く不動産であった場合、それは避けたいと思われる方もいらっしゃるでしょう。そのために次のような遺言内容を定めたいという方が多いです。

私の不動産を妻に相続させる。その後、妻が亡くなったらその不動産を私の甥に遺贈させる

このような遺言の定めはできるのでしょうか!?もちろん、遺言で、財産の承継者を定めることができます。たとえば、「私の不動産を妻に相続させる」というものです。しかし、その不動産が妻に相続させた後は、その不動産は妻の固有の財産となり、その処分方法は妻が決めることになります。よって、結論としては遺言で定めることができません。つまり、上記のような後継ぎ遺贈は遺言を定める民法の世界では実現できないのです。ちなみに、後継ぎ遺贈とは、「私の不動産を妻に相続させる。さらにその妻が亡くなった後は、その不動産を私の甥に遺贈する」という内容のことです。このような内容を遺言で定めても効力が生じません。この内容を実現する法的手段はあるのでしょうか!?

受益者連続信託の利用

上記のようなことを実現するときに信託を活用します。

具体的には、本人は生前に次のような信託契約を締結します(遺言信託という方法もありますが、次回以降のコラムで説明します)。

まず、委託者(本人)が、自分の生前は自分を受益者として、当該不動産を信託銀行等の受託者へ信託します。そして、自分が死亡した場合の第2受益者を妻とします。そして、妻が死亡した後の第3受益者を本人の甥っ子に設定しておくわけです。これで、上記のような目的を果たせるわけです。これを受益者連続信託といいます。信託にはこのような定めを行うことができます。つまり、遺言で実現できないことが実現できるわけです。

受益者連続信託は税制上まだまだ使い勝手がよくないですが、これからそのような点をクリアすれば爆発的に増えていくスキームだと思います。

次回は、様々な承継の場面での信託の活用についてみていきます。