相続における長男の嫁の想い

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。今日で5月も終わりですね。そして、6月はなんといってもサッカーワールドカップブラジル大会です!4年に1度の祭典!前回の南アフリカ大会と同様に、日本中を熱狂させてくれるでしょう。がんばれ!日本代表!

ということで、本日のコラム「相続・遺言のポイント」のテーマは、ずばり「長男のヨメ」です。核家族化が進み、昔ほど嫁姑問題が多くないかと思いますが、いまだ姑に苦しんでいる、もしくは介護をしているという方は多いのではないのでしょうか。そして、その姑が亡くなった後の相続で今までお世話をしていなかった長男の兄弟たちが自分たちの相続権を主張するのです。そのとき、長男の嫁はどんな思いをもっているのか、今日はそんなテーマでお話しします。

長男の嫁は相続権がない

昔はドラマのネタでとりあげられるほど印象の強かった嫁姑問題。長男の家に嫁いだ嫁は、姑から厳しく指導されたり、または長男の兄弟からも小言を言われながら生活をしているイメージですよね。そして、姑が亡くなり相続が発生します。姑の相続人は、嫁から見たら夫である長男とその兄弟達です(義父はすでに亡くなっているとします)。嫁は相続権がないのです。姑のお世話や介護をしてきたのは、長男でなく、その嫁であることが多いですが、その嫁には一銭も相続財産を手に入れることができません。しかも、今まで姑の世話や介護をしてこなかった長男の兄弟達が相続権を主張するのです。長男としても兄弟で仲良く等分して分けるという気持ちであっても、その嫁の気持ちはそうではありません。せめて夫である長男に多く相続してほしいと思うでしょう。しかし、姑の遺産分割協議には直接口を出すことができません。嫁は泣き寝入りすることもあります。また、嫁はあきらめきれず夫である長男にプレッシャーをかけてできるだけ多く遺産をとろうと主張し、兄弟間の仲が悪くなって争族状態に発展してしまうかもしれません。

このように長男の嫁の気持ちはよく理解できると思います。しかし、現実問題として長男の嫁の要望が満たされないため、泣き寝入りするしかなかったり、相続争いになってしまう可能性があるのです。

長男の嫁に財産を遺すには

そのような状況を防ぐために必要なのが相続対策です。もちろん姑が自分の意思で行う必要があります。しかし、姑も最期は今まで面倒みてもらった嫁を想う気持ちが出てきているでしょう。具体的に相続対策とは、遺言、生前贈与、死因贈与などが考えられます。遺言では相続人でない嫁に財産を遺すため、「遺贈」することになります。もちろん嫁に遺産の一部を遺贈する内容だけでなく他の財産の相続分配を定めるべきです。そして、生前に贈与しようということで生前贈与が考えられます。しかし、生前贈与には贈与税の問題があります。嫁姑間の贈与には減税の特例がないため、110万円を超える贈与になってしまうと贈与税がかかってしまいます。110万円を超える贈与する場合は、数年かけて贈与するなど工夫が必要です。また、姑が亡くなったら贈与するという死因贈与という方法があります。こちらも遺言に似ていますが、公正証書で作成しておくことをおすすめします。

このように、長男の嫁の想いを満たし、相続問題を防ぐためには姑が生前に相続対策をしておくことが重要です。