離婚に伴う相続の問題とは

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。梅雨というとパラパラと長雨が降るというイメージですが、今年は大雨が続きます。これも温暖化による異常気象の影響でしょうか!?昨年の夏は異様に暑かったですが、今年はどうでしょうかね。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、離婚と相続がテーマとなります。一見、全く関係ないと思われる方が多いですよね。しかし、そうでもないのです。それでは解説に入ります。

離婚後の相続関係

例えば夫A、妻B、その子をCとします。よくある家族構成だと思います。そして、不幸にもAとBが離婚します。子Cは母であるBが親権をもち、お互い一切連絡を取らず数十年が経ちました。そしてCのもとに1通の通知書が届きました。そこには、Aが死亡したため、Aの負債である1,000万円を相続人であるCが払ってくださいという内容です。Aが亡くなってから5年が経過しており、どうしたらよいか分からず司法書士に相談しました。

このようなことは実は多くあります。離婚の当事者である夫、妻は単に別れたいという希望があり離婚します。そして、夫と妻の間には法律上一切関係がなくなりますので、お互いに連絡を取り合う必要はありません。しかし、子と親はたとえ親が離婚しても親子関係は消滅しません。一生、親子関係が残るのです。片親と離れて暮らすことになっても将来、相続が起こればその子は相続人となるのです。

当事務所でも数多くの離婚の相談を受けておりますが、実はこの点についてよく考えていない方が多いです。早く離婚したい、疲れたという思いからかそこまで考えていない方が多いです。子がいる両親が離婚する場合はこのことも念頭において離婚協議をしていくことをおすすめします。

ちなみに上記事例では相続放棄が可能です。相続放棄は、亡くなったことを知ってから3か月以内に行う必要があります。そのため、今回通知書が届いて初めて父が亡くなったことを知ったのであれば、そこから3か月内に家庭裁判所に相続放棄を申立てることで、父の負債を負う必要はありません。家庭裁判所に相続放棄を申立るには、債権者から届いた通知書や今までのいきさつを書いた上申書を添付資料として一緒に提出することになります。

離婚協議中に死亡した場合

上記の例でいえば、離婚成立後(離婚届後)は、夫妻の間の法律関係は消滅しますので、どちらかが死亡しても相続の問題は起こりません。しかし、事実上夫婦関係が破たんしているが、離婚が成立していない場合(離婚届を出していない、離婚調停中)にどちらかが死亡すると、お互いに相続関係が生じてきます。

事実上夫婦関係が破たんしている場合は、やはりお互い財産については配偶者に渡したくないと思うのが一般的です。しかし、離婚協議中、もしくは離婚調停、離婚訴訟中に一方が死亡した場合は他方の配偶者が当然に相続権を取得します。これを防ぐためにはやはり遺言を作ることが必要です。遺言により相続する人をあらかじめ指定しておくということです。ただし、それでも遺留分という問題が起こります。これを完全に防ぐことは正直できません。しかし、例えば離婚原因がDV(ドメスティックバイオレンス)等であれば、遺言に相続人廃除の規定を入れておくことで、配偶者を相続人とさせないということも考えられます。この場合には、遺言執行者の規定も入れておかなければなりません。相続が発生した後に、遺言執行者が家庭裁判所に相続人廃除の申立を行うことになります。しかし、現実的に相続人廃除はよほどの事由でないと認められません。

以上のとおり、離婚する場合には、いずれ必ず起きる相続についても協議内容として検討していただければと思います。