臓器提供の意思表示を遺言でしてもいいの!?

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。8月に突入しました。夏本番。この時期は熱中症に要注意ですね。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」のテーマは、臓器提供です。臓器提供は文字通り臓器を提供することですが、従来の臓器移植法では、本人の書面による臓器提供の意思表示+遺族の同意がなければ行うことができませんでした。それが、平成21年の改正により本人の臓器提供の意思が不明であっても遺族がこれを書面により承諾するときにも臓器摘出ができるようになりました。臓器提供は海外に比べて日本ではまだまだ規制が多いです。倫理観、考え方の違いもあると思います。しかし、余命もわずかで臓器提供を待っている方がいて、その方のために自分が脳死、心停止になったときに臓器を提供したいという方もいるのも事実です。これから、臓器提供に関して規制緩和がされる流れになると思いますが、国民が使いやすい制度にしてもらいたいですね。

臓器提供の意思表示の方法

それでは、臓器提供をしたいという方はどうしたらよいのか。方法は3つです。

  1. 臓器提供意思表示カード、シールに記載する方法
  2. 意思表示欄があらかじめ設置されている健康保険の被保険者証や運転免許証に記載する方法
  3. インターネットによる意思登録の方法

どれも簡単にできます。また、臓器提供の意思表示を遺言で行うこともできます。文例は次のとおりです。

遺言者は、臓器の移植に関する法律および同法施行規則に定められた基準によって脳死と判定された場合には、私の体から心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球を摘出し、それを必要としている患者に移植することを承諾し、かつ希望する。なお、遺言者は上記の臓器摘出の前に、法律・規則による脳死の判定を受けることを承諾し、その判定に従う。

遺言者の心臓が停止したと判断された場合には、心臓と肺を除く前条記載の臓器及び眼球(角膜)。皮膚、血管、骨その他移植が可能な遺言者の身体各部位の臓器その他があれば、法律・規則に基づいてこれを摘出し、移植を必要とする患者に移植することを承諾する。

遺言で定める場合は付言事項として定めます。しかし、前回の尊厳死に関する遺言でも言及したとおり、遺言は遺言者の死亡後に効力が生じるもので、臓器移植が必要となる状況で速やかに提出されるものではないこと、さらに臓器提供以外の遺言事項についても判明してしまうことで遺族に混乱を与えてしまうかもしれないことから、遺言での臓器提供の意思表示はあまりおすすめできません。

臓器提供の意思表示をする前に

このように臓器提供は自分の意思であらかじめ書面に記載、登録することで簡単に意思表示ができます。ただ、やはり自分が臓器提供の意思表示をする前には家族に説明しておくことがよいでしょう。家族に説明し納得してもらえれば、もし仮に自分がそのような状態になってしまった時に家族が協力してくれるでしょう。次回は、献体についてテーマにしたいと思います。