孤独死により発生する法律問題とは!?~パート1~

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。すっかり寒くなりました。もう冬本番ですかね。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、孤独死にまつわる法律問題について解説していきます。孤独死とは法律上の定義はありませんが、身寄りがなく(または拒否して)単身で死を迎えることをいいます。テレビなどのメディアでも最近孤独死の特集が組まれるなど社会問題となっています。また、地域コミュニティの希薄、核家族化によりますます今後増えていくだろうと思います。この孤独死がもたらす法律問題について具体的にみていきます。

孤独死により生じる法律問題

孤独死で最も難しい法律問題が借家の問題でしょう。賃貸人である大家さんが抱える問題、また賃借人である方の相続人が抱える問題が生じます。まず、大家さんの立場からみた場合どのような問題があるでしょう。孤独死というとまず問題になるのが遺体の引き取りです。この点については、基本的に警察が身元照会するために遺体を引き取り警察の方で親族へ引き取りをお願いすることになります。そのために遺体を発見したらすぐに警察に知らせなければなりません。また、死亡届の提出者として戸籍法では、届け出義務者に家主も含まれています。そのあたり気をつける点です。

賃貸借契約の解除

孤独死により貸している部屋の賃貸借契約はどのようになるでしょうか!?原則では、賃貸借契約は賃借人の相続人に引き継がれます。しかし、賃借人の相続人としても関わりたくないという理由で相続放棄をしたり、応答がなかったりするかもしれません。しかし、大家としてはできる限り早期に部屋をきれいにしてまた第三者に貸したいと思うでしょう。そのため、賃貸借契約解除という方法を検討することになるかと思います。契約解除には、通常、賃料滞納による不払いを原因として解除することが多いかと思います。また、相続人と合意解除ということも考えられます。そのとき問題になるのが意思表示の到達です。基本的には相続人に対して通知を発送することになります。民法の原則では相続人に到達しなければ契約解除の効力が発生しません。相続人に受領拒否された場合は原則として到達したと認定して契約を解除することができますが、受取人不在で戻ってきてしまった場合などは判例上も立場が分かれています。このあたりの法律問題はまだ判例で確立されていませんので、法律専門家に相談しながら進めていくことをお薦めします。

原状回復に関する問題

遺体の発見が遅れた場合、建物の汚損、死臭などにより原状回復するためには高額な清掃、修繕費がかかります。大家さんはこれらの費用を賃借人の相続人に請求できるのでしょうか!?原状回復に伴う損害賠償(清掃費、修繕費)を請求するには、死亡した賃借人の故意、過失がなければなりません。そのため、老衰や病気等の自然死でなくなった場合は、賃借人に損害賠償責任はなく大家さんは請求できないとされています(当然賃借人の相続人も損害賠償責任をおいません)。一方、賃借人が自殺した場合は、一般的に賃借人に損害賠償責任を認めています。この場合は、大家さんは賃借人の相続人に原状回復費用を請求できそうです。ただ、自殺がうつ病などによる場合など考慮しなければならない点もあり、一概に結論が一緒になるわけではないので注意しましょう。また、賃貸借の場合、国土交通省でガイドラインが公表されていますが、当該ガイドラインは経過年数なども考慮することになりますので、孤独死による原状回復の場合に一律に適用されるという判断にはならないかと思います(一般的に、経過年数が経っていれば原状回復請求が認められにくくなります)。現に、ガイドラインの基準を適用せず原状回復を認めた判例も多くあるようです。

以上、孤独死について取り上げましたが、次回も引き続きこのテーマでお話ししたいと思います。