家族信託と成年後見・任意後見の両制度を組み合わせて利用することもある!

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。最近、当事務所には家族信託のご相談が益々増えてきました。実際に手続きを行うことも多いです。相続対策の一つのスキームとしても利用できますのでお気軽に当事務所までご相談ください。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は相談の多い家族信託そして成年後見です。実は、「将来、成年後見を利用したくないので家族信託をしたい」という相談も結構あります。成年後見制度を避けるために家族信託をすると認識されている方も結構いらっしゃいます。確かに実際にそのような理由から家族信託を行う場合もありますが、家族信託と成年後見はどちらか一方を利用するのではなく併存する制度なのです。

成年後見は家庭裁判所のチェックを受ける

財産管理の方法として成年後見任意後見)と家族信託があげられます。成年後見も制度ができて15年ほどたちましたので実務でも広く知れ渡っていて多く利用されています。しかし、成年後見のイメージとして「面倒だ」と思われている方がいらっしゃるのも事実としてあります。面倒というのはずばり成年後見は家庭裁判所のチェックを常に受けるという点です。成年後見では、本人の財産の管理が大原則です。そのため、処分行為には家庭裁判所の確認が必要で、資産運用や本人の財産を減らす可能性のある投資、株、または贈与などはなかなか認めまれません。また、本人が施設に入るようになったが、施設入所費として自宅を売りたいというときでも家庭裁判所の許可が必要でそのための時間を要することからも成年後見人となる親族の方の思いどおりにはなりません。成年後見は、あくまでも本人の福祉を確保するという目的のための財産管理ですので、良い面もあれば使い勝手が悪いという感じを受けることもあります。

家族信託では受託者にある程度自由な裁量がある

一方、家族信託では受託者が信託財産の名義人となり、名義人として財産管理・運用していくわけです。もちろん受託者の好き勝手に財産管理はできませんが、信託の目的に逸脱しない限りはある程度受託者の裁量で財産管理をしていくことができるのです。もちろん、契約書上で受託者の権限を制限することや信託監督人を選任することもありますが、家族間の信頼関係に基づいて信託をするのが家族信託ですので、通常ある程度、受託者の裁量は広いです。上記の例でいえば、資産が目減りするのが明らかな場合は、ローリスクの運用を行うことは可能かと思いますし、本人が施設に入る場合は受託者が不動産の売却を行いその売却代金を施設費用にあてることができます。その意味では家族信託の方が財産管理しやすいということになります。

家族信託をしても成年後見を利用することがある

そのため家族信託を選択される方も多いでしょう。しかし、家族信託でも信託期間中で本人の判断能力が喪失する場合もあります。この場合、受託者が本人の代わりに施設の入所契約などの法律行為を代理することはできません。そこで成年後見を申し立てる必要があります。成年後見人が本人に代わって様々な契約を代理して締結していきます。以降は、成年後見人と受託者が相互に役割を分担して本人をサポートしていくことになります。家族信託の信託契約書では成年後見人が選任された場合のことも想定して決まり事を定めておくこともあります。本人のサポートを万全にしておくために両制度を積極的に利用していきましょう。