成年後見の昔と今の現状について

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。もうすぐゴールデンウィークですが、自営業の私にとっては休みが多いのもどうかと思ってしまいます。休みを有効に活用していきたいですね。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、成年後見の昔と今というテーマで書かせていただきます。成年後見とは判断能力が衰えた方のために身上監護を目的とする財産管理を後見人が行い本人の福祉をはかるものです。制度ができてから15年経過していますが、かつての運用と今ではどう変わっているのかをみていきます。

成年後見の申立

成年後見は近年注目されてきていて家庭裁判所に対する申立件数も毎年増加していました。しかし、ここ3年ほどは申立件数が横ばいのようです。一般に生活をされている方に対しても「成年後見」という言葉が浸透してきていますが、デメリットといわれる部分、つまり成年後見を申し立てると家庭裁判所の監督のもと財産管理を行っていくので自由な管理ができなくなるということも広く知られているからでしょうか。また、近年、成年後見による横領事件が相次ぎ、申立に躊躇されるようになったのかもしれません。

次に成年後見人に誰が選ばれるかですが、昔は親族の方が後見人になるケースが多かったです。しかし、今は親族後見は約35%です。親族以外の主に専門職が選ばれるケースが増えています。それは、親族が本人の財産を横領する事件が増えたからです。横領というと大げさに聞こえるかもしれませんが、親の財産を子が勝手に費消することは刑法で定める「業務上横領罪」にあたります。そのため、今現在は親族が単独で後見人に選ばれるケースは減っているといえるでしょう。親族と専門家が後見人、または専門家が後見監督人にならないと親族が後見人に就任することが難しいのかもしれません。

職業後見人についてですが、家庭裁判所は後見人に司法書士、弁護士、社会福祉士を選任することが多いです。ちなみに最近のニュースで職業後見人でも横領する事件が多くなっているということをききましたがとんでもないですね。専門職だからこそ職業倫理を見つめなおし、国民の信頼をえなければならないと感じます。

なお、成年後見運用当初は職業後見人として弁護士が一番多かったですが、最初の3年以降は司法書士が一番多く後見人に就任しています。公益社団法人リーガルサポートという団体をつくり、家庭裁判所からの信用も高いと聞いています。

成年後見における家庭裁判所の運用

かつては、成年後見の申し立てをしてから4~6か月審理にかかっていました。成年後見人が選ばれるまで非常に時間がかかっていました。しかし今はほとんど1ヶ月以内、遅くとも2か月以内に後見人が選ばれるようになりました。そして、かつては本人の鑑定がされるのが原則でしたが、今は1割くらいに減っています。総じていえることは、成年後見の申立件数が増えてきて家庭裁判所も時間をかけず早期に審判する考えなのでしょう。本人の権利擁護という面からみると慎重になってほしい部分もありますが、これから先のことを考えると益々制度を利用される方が増えるでしょうから致し方ないのかもしれません。

後見制度支援信託の利用が増えている

後見制度支援信託とは、本人の財産の内、日常的な支払いをするのに必要な金銭を後見人が管理し、その他通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことです。家庭裁判所が後見制度支援信託を選択することが増えています。背景にあるのはやはり親族による本人の財産の横領です。親族後見人に管理する必要ない多額の金銭を信託銀行等で管理することで費消することを防ぐことが目的です。しかし、この制度も問題があるといえます。まずは家庭裁判所という国の機関が私人である本人の財産の運用方法を勝手に決めることになり財産権の侵害といえるでしょう。また、成年後見制度は本来、本人の福祉のために財産管理を行うのであって、できるだけ本人のためにお金をかけていくというものです。本人の財産の使用を限定するようなことは成年後見制度の趣旨に反するのではないかと考えます。

成年後見の昔と今の現状を書きましたが、時代の流れで運用はどんどんかわっていくかと思います。本コラムでも最新情報をのせていきたいと思います。