遺産分割について①

こんにちは。司法書士の加藤隆史です。今回のコラム「相続・遺言のポイント」のテーマは遺産分割です。遺産分割については、多くの論点がありますので、当コラムでも多く触れていきたいと思います。

遺産分割協議の当事者

遺産分割協議の当事者には、共同相続人の他、包括受遺者や相続分の譲受人も含まれます。そして、遺産分割の協議が有効に成立するためには、共同相続人全員の参加と合意が必要で、一部の相続人を除外して遺産分割協議を行った場合、当該遺産分割は無効とされています。では、次の事例の場合はどうでしょうか。

事例1.被相続人Aが死亡し、配偶者B、子C、Dが相続したが、Dが3年前に家出をして行方不明である場合、Dを除いて遺産分割協議をすることができるか?

答えは、遺産分割協議はできません。共同相続人中に行方不明者がいる場合は、その行方不明者が死亡していない以上、相続人として遺産分割協議に参加しなければなりません。この場合には、行方不明者のために家庭裁判所に不在者の財産管理人の選任を申し立て、選任された不在者財産管理人が家庭裁判所の許可を得て、不在者のために遺産分割協議に参加することができます。私も過去に、相続人の内行方不明者がいた事案を扱ったことがあります。その事案では、相続人の希望もあり行方不明者の行方を調査するところから始め、行方不明者の最後の住所地である千葉の住所にも訪ねました。最終的には、興信所に依頼し見つけだすことができ、遺産分割協議を無事行うことができました。

事例2.被相続人Aが死亡し、配偶者Bと子C、Dが相続したが、Dが相続放棄をした場合、Dを除いて遺産分割協議をすることができるか?

答えは、遺産分割協議はできます。Dが相続放棄をすることによって、初めから相続人とならなかったものとみなされるため、遺産分割協議の当事者となりません。

事例3.被相続人Aが死亡し、配偶者Bと子C、Dが相続したが、Dが第三者であるEに相続分を譲渡した場合、Eを除いて遺産分割教師をすることができるか?

答えは、遺産分割協議はできません。共同相続人から相続分の譲渡を受けた第三者は、共同相続人からの取戻権の行使を受けない限り、共同相続人と同一の権利義務を有しますので、遺産分割協議の当事者となり、相続分の譲受人である第三者を除外した遺産分割協議は効力を有しないものとされています。相続分を譲り渡したDは、当然、遺産分割の当事者とはなりません。

次回のコラムでは、親が親権に服する子を代理して遺産分割協議を行う、いわゆる利益相反の問題について述べたいと思います。