自殺予防と遺族支援について

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。1週間があっという間に過ぎていきます。よく年齢が上がるについて時間が過ぎるのが早く感じるそうですが、30代でこんなに早く感じると、もっと年をとってからはどれだけ早く感じるのか少し怖いですね。今年も残り一日一日を大切にしていきます。さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、「自殺」、「自死」をテーマにとりあげます。今月、私が神奈川県司法書士会で研修を受けてきたテーマですが、この問題は本当に深刻です。我々司法書士は、業務の性質上、自殺、自死された方との接点をもつことも多くなってきています。この自殺は社会的取り組みとして対応していかなければなりませんが、司法書士もこの問題解決に向けて支援することが求められています。

自殺の現状

日本の自殺死亡者数は人口の増加とともに増えてきていて1998年以降は3万人前後で推移しています。直近の平成24年では少し減り約2万7000人です。それでも交通事故で死亡される人の数の3倍です。今までは都市部であり、中高年男性の自殺が割合的に多かったのですが、最近はやや低下傾向にあり、若年成人が高くなるという変化がおきているようです。また、一般的には男性の自殺死亡率は、女性に比べて高く、無職で離別者の自殺死亡率が高くなっています。また、曜日単位では月曜がもっとも多いようです。さらには自殺の原因として、健康問題、経済生活問題、家庭問題、勤務問題、男女問題、学校問題の順で多いです。やはり経済生活問題や勤務問題が高い割合で原因となっていることから、「ワーク・ライフ・バランス」が崩れ仕事と生活の調和が難しくなり心身ともに疲れて、うつ病などの状態に陥り、自殺につながってしまうということが分かります。

これは、我々司法書士自身にとっても無関心ではいられません。個人事業主がほとんどである司法書士は、やはり仕事と生活の調和が難しいでしょう。そして自分自身の心身にひどく影響がでてしまえば、勤労者のような保障がほとんどない個人事業主である我々にとって深刻な事態を引き起こしてしまいます。私たちは、目の前の仕事に励むだけでなく、自分自身の働き方、自分自身のメンタルヘルスにも注意を向けて生きていかなければなりません。

司法書士による自殺予防

司法書士は、業務上、多重債務問題、労働問題、家庭問題の相談を受けることが多いです。そして、司法書士に相談に来られる方には、そのような問題で重荷を抱えて追い詰められている人も少なくありません。しかし、相談者が精神症状を訴えに司法書士に相談するわけではありませんので、相談者がうつ病などのメンタルヘルスの問題をかかえているかどうかを把握することは容易ではありません。ただし、このときに司法書士が相談者の状態に気づき、適切な治療やケアに繋げることで、自殺を予防できる可能性があるのです。司法書士もメンタルヘルスに関する知識をもち、法的問題の解決に取り組むだけでなく、相談者の心の病気を治すために相談機関や医療機関に繋げるような働きが必要でしょう。

司法書士による遺族支援

司法書士がかかわる業務には、人の死をきっかけとするものが多くあります。たとえば、不動産の相続登記、亡くなった方の借金問題、相続放棄などです。しかし、この「死」の中には自殺が原因となっている事案があるかもしれません。つまり、司法書士が普段接している相談者に自死遺族が含まれている場合があるのです。

自死遺族が行政や関係機関の対応の中で深く傷つく場合があります(二次被害)。遺族は重大な心理的影響を受けており、自殺のことを誰にも話せないで苦しんでいることがあります。当然ですが、大切な人の自殺を予測し、その心の準備ができている人はいません。自殺が起きてから、遺族は心理的な問題を抱えながら、生活費の確保や子どもの教育など、様々な問題に直面し、その中で死後の手続きを取らなければなりません。心理的に混乱している中で、数多くの手続きをするのは難しいでしょう。このような方に、司法書士が必要な情報提供、手続きの代理などで支援していくことは重要であり、またそれだけでなく、相談に応じるときにも二次被害を生むことを気を付け、相談者が必要と感じた時にはメンタルヘルスを考慮し、様々な相談機関や医療機関につなげることも必要でしょう。

また、自死遺族には経済的な問題が発生することが多いです。所得が低下し、子どもの教育費用にも問題が生じます。そのために我々司法書士が生活保護の申請に同行したり対応することが求められています。

今日のテーマは非常に重い内容でしたが、司法書士もこの自殺問題に積極的に取り組まなければならないと感じています。そして、多重債務者問題や家族問題、労働問題などで悩んでいる方は、ぜひ司法書士に相談していただければと思います。