遺産分割について②

こんにちは。司法書士の加藤隆史です。2012年もあと残り1か月ですね。来月は忘年会やらクリスマスやらで世の中もあわただしくなりますが、みなさんもやり残したことがないように元気にがんばりましょうね。コラム「相続・遺言のポイント」、今回のテーマは、前回に引き続き「遺産分割」についてとりあげます。遺産分割の中でも今回は、親が子を代理して遺産分割協議ができるかどうか、つまり親と子の利益相反について説明していきます。

遺産分割協議と利益相反行為

事例

Aが死亡し、配偶者Bと子C、E、Dが相続することになった。Dが未成年者である場合、遺産分割協議をする際に、Bが遺産の分配を受けない場合でも、BがDを代理することはできないのか?

利益相反行為とは、民法826条1項で、「親権を行う父または母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない」、同条2項で、「親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その1人と他の子との利益がそう反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない」と規定があります。利益相反行為の規定は、未成年者の利益を保護することを目的としています。そのため、例えば、親権に服する子が親権者から贈与を受けるとか債務免除を受けるというように、未成年者が利益のみを受ける場合は、利益相反行為の規定は適用されないと解されています。

親権者とその親権に服する子との間、または同一の親権に服する数人の子相互間の行為が、同条の利益相反行為に該当するか否かの判断基準について、判例では、専ら当該行為自体ないし行為の外形だけから判断すべきであり、当該行為の動機や目的、その結果のいかんを問うべきではないとしています(最判昭42.4.18民集21巻)。つまり、形式的に判断することになります。

したがって、遺産分割協議は、親権者の意図や協議の結果にかかわらず、その行為の客観的性質上、相続人間で利害の対立が生じる可能性がある行為といえますので、親権者とその親権に服する子との間、または同一の真剣に服する数人の子の間の遺産分割協議は、利益相反行為に該当すると判断されます。

事例について、結論としては、BはDを代理して遺産分割協議をすることができないことになります。BはDのために特別代理人の選任を家庭裁判所へ申立て、選任された特別代理人は、遺産分割を行うことについて裁判所の許可を得て協議に参加することになります。

ちなみに、この利益相反行為の判断の考え方は登記実務でも同様に考えられています。

次回のコラムでは、遺産分割が成立した後に作成する遺産分割協議書についてお話します。