死後の手続き(不動産編パート1)
こんにちは。司法書士の加藤隆史です。3月も終わり来週からは新年度ですね。これから新生活を送られる方、元気にがんばりましょうね!
というわけで、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、死後の不動産の相続手続きについて書きます。まさに、司法書士の本業といったところです。不動産といえば、価格が高い、流動性がない(お金にしにくい)という特徴があります。そのため相続人間で遺産分割協議をするときに、不動産の取得について争いになることが多いです。では、具体的に不動産の相続手続きについて説明します。
不動産の相続の特徴
亡くなった方の8割は自宅を所有しているため、ほとんどの方は相続による名義変更(相続登記)をすることになります。その相続登記を行うには、遺産分割協議で自宅(不動産)を誰が相続するかを決めることになります。その遺産分割協議において、誰が不動産を相続するかでもめることもでてくるでしょう。なぜなら、不動産が相続財産の中で最も価格が高いからです。不動産を取得した相続人が相続財産の大半を相続することになりますので、不動産を取得しない相続人にとっては面白くありません。具体的には、相続人の一人が生活に困窮している場合などもめる原因になります。
また、遠隔地に住んでいる子供が親の自宅を相続する場合や子供のいない夫婦で兄弟姉妹が相続人となる場合にも争いに発展することが多いです。つまり、相続人自身には自宅があり、亡くなった方の自宅不動産に住むことはないため、不動産を相続して売ってしまえばかなりの金額を得ることができるからです。
不動産を相続人が共有することはどうか?
では、不動産を相続人全員で法定相続分どおりの持分で共有すればいいじゃないかということになります。売却を前提に進めるのであれば相続人が共有することもいいかと思います。しかし、その場合でも、売却がなかなかできないリスクも検討する必要があるでしょう。
不動産は流動性がないのが特徴であることを最初に書きました。それは不動産は簡単には売れないからです。不動産は、買主がいて初めて売ることができます。その不動産が魅力のない物件であれば、当然買主が出てこないでしょう。そして、買主が現れず、ずるずる時間が経って、そのうちに二次相続が起きる可能性もあります。二次相続が起きたら、また相続登記をする必要があります。そこで、相続登記をしたことはいいものの、新たに持分を取得した者が、不動産を売ることを拒否するといいだすかもしれません。そうしたら、不動産を売ることができません。結局、共有で持っている不動産は一人ひとりが好き勝手に利用することができず、固定資産税だけ負担することになります。このようなデメリットもあるということを知っておいてください。
不動産については色々と書きたいことがありますので、また次回も書きます。