判断能力が衰えても遺言ってできるの!?

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。インフルエンザが流行っています。みなさん気を付けてくださいね。それはそうと今週は本年最初の遺言作成のサポートをいたしました。公証人の先生と一緒に出張してホームでの遺言手続きです。今年も相続・遺言または信託、後見に関する業務を積極的にやっていきますので、お気軽にご相談くださいませ。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、判断能力が衰えている方も遺言って有効にできるの?というお問い合わせが多いので、このテーマをとりあげたいと思います。今や日本は超高齢化社会、長寿社会となり、長生きになった分、高齢の方の判断能力の有無というのが社会生活を営むうえで大変重要になっています。日本では平成12年に成年後見制度が成立し、判断能力が衰えた方に対して、法的に援助(同意、取消、代理)をするために後見人等が選任されサポートすることができるようになりました。やはり、判断能力が衰えている以上、詐欺などの犯罪などにあってしまう可能性が高くなるため近年は成年後見を利用する方が増えています。

話がずれていきましたが、判断能力が衰えている方が遺言ができるかどうかについて書いていきます。

判断能力の段階

一言で判断能力といっても、後見制度では3つの段階があるのです。判断能力がほとんどない方(一般的に2~3歳くらい)を被後見人、判断能力が著しく不十分な方(一般的に小学生低学年くらい)を被保佐人、ある程度判断能力はあるが不安がある方を被補助人と分けています。しかし、お医者さん以外の一般の方はどの程度の判断能力がどの段階にあたるのかは分からないかと思いますし、私もはっきりいって分かりません。一般的にはお医者さんがどのくらいの判断能力があるか診断することで判明します。

さて、成年被後見人など判断能力がない方は一般的に契約(日常生活のものは除く)という法律行為をすることができません。そのため、成年後見人などが遺言をすることができるのかということが問題になります。

成年被後見人は医師2名以上の立会のもとに遺言を作成することができる!

成年被後見人は基本的に判断能力がないため、遺言できないかと思われるでしょう。しかし、遺言というのはその人の最後の意思表示ということでできるだけ遺言が認められるように法律で定めがあります。その法律の定めというのが医師2名以上の立会で判断能力が一時回復していると認めた場合です。医師とは医師免許があればどの医師でもかまいませんが、かかりつけの医師の方に相談するほうがよいでしょう。この場合、医師が立ち会ったことが公正証書遺言に付記され、医師の署名・押印も必要となります。私も実務では経験がありませんが、先日公証人に伺ったところ2件ほどやったことがあるということです。なんにしても遺言を遺すことができる場合があるのです。

被保佐人、被補助人は遺言を遺すことができる!

一方、成年被後見人よりは判断能力がある被保佐人、被補助人は有効に遺言をのこすことができます。法の趣旨でできるだけ遺言を作ることを認めているためです。ただし、判断能力が衰えていても遺言者に何も確認しないで遺言を作ることはできません。しっかし、遺言の内容を説明し、また問いに対しそれを認める何らかの意思表示(最低限頷くことは必要)をすることは必要です。

このように遺言を作られる方は元気なうちにおつくりすることをお薦めしますが、判断能力が衰えている方も自分の意思をしっかりのこす遺言はつくることができます。判断が難しいこともありますので、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

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