東日本大震災から3年、原発事故による相続問題を考える

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。東日本大震災からもうすぐ3年が経ちます。東日本大震災によって様々な問題が発生しました。そこで今回のコラム「相続・遺言のポイント」は、東日本大震災によって引き起こされた原発による被害、それに伴う相続問題にスポットをあてて考えてみたいと思います。

原発の被害から引き起こされた相続問題

東日本大震災から3年、被災地の復興はまだまだ進んでいません。今回の地震による被害はすさまじいものがあり、尊い多くの命が犠牲となり、また多くの建物も流されました。そして、現在最大の問題とされているのが原発問題です。原発事故により多くの方が避難を余儀なくされました。特に地域的に高齢者が多く住む場所なので、そのような方にとって、今まで住んでいた場所を離れるというのは相当の労力がかかることは明らかです。この原発事故によって、今もなお多くの方が苦しんでいるのです。

この原発事故の賠償のため、東京電力は避難者である不動産所有者に対して賠償を行っていますが、ここで相続問題が浮彫になっています。賠償は、原則として平成23年3月11日時点の不動産所有者に対してなされるのですが、その登記簿上の不動産所有者が既に死亡していることも多いわけです。つまり、相続登記が未了ということです。このような都心から離れた地域では、昔から代々家を継ぐ者にたいして当然に承継がされるので、相続登記が未了の不動産が多くあります。そのため、登記名義が先先代であるということも珍しくありません。これらの相続登記をする際には、多くの相続人がでてくるため合意形成に時間がかかります。また、一人が反対したら相続登記ができません。このような問題があらためて明らかになりました。

また、当初、東京電力は相続登記をしている相続人が優先され、相続登記未了の不動産に対しては賠償から外れ、賠償が遅滞していくことになりました。しかし、様々な相続人、自治体からの要請があり相続登記未了でも不動産賠償手続きが進められることになりました。しかし、基本的には相続登記に必要な戸籍謄本や相続人間の遺産分割協議書、印鑑証明書などが必要なため被災した相続人にとってはなかなかハードルが高くなっていることが問題となっています。

未登記建物の賠償

東京電力が不動産賠償をする不動産は基本的に固定資産課税台帳をもとに確認できた不動産でした。そのため、固定資産課税台帳と登記簿上の面積が相違しているケースなどがあり所有者を確定できないという問題もでてきました。賠償対象地について、新築、増築に関する登記をしていない場合も多いです。とくに地域性でローンを組んで住宅を購入することが少ないということも未登記が多い原因でしょう。今回、このような賠償問題が起きたことで登記をしているか、していないかで対応が違い大変な混乱がおこりました。

原発事故から争族に発展

上記のとおり原発事故により賠償金を手にした被害者もでてきました。しかし賠償金を手にしても被害者に必ずしもプラスに働いていることばかりではありません。原発事故による放射性物質に対する考え方の違いによって夫婦が離婚に至るケース、家族が別々に非難して不和が生じたケースなど様々な法的問題が引き起こされました。高額な賠償金を手にしたことで、家族間で骨肉の争いが生じることもでてきました。

相続問題も引き起こされています。例えば、不動産賠償請求を前提とした遺産分割協議をする場合です。地域柄、これまでは当然長男が相続すると他の相続人・親族も了解してていたり、地元に残り先祖代々の不動産を守っている相続人が当然それを承継するであろうと暗黙の了解があった場合において、それまで実家の田舎の不動産に全く関心がなかった他の相続人が、賠償金に変わった途端に遺産分割勝協議書の押印を拒み、権利を主張するという具合です。

このような法的紛争は原発事故により間接的に引きを越された法的問題です。このように、今回の大震災で原発の問題起こり、それに派生して様々な法的問題が起こっています。私も司法書士として、被災者の方に相談業務や相続登記、賠償に関するADRなどで支援していきたいと思っております。

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