自筆証書遺言に関するQ&A
こんにちは!横浜の司法書士の加藤です。御嶽山の噴火で多数の方がお亡くなりになられたこと心よりご冥福お祈りいたします。最近、このような自然の猛威によって甚大な被害が生じていますね。大変心が痛みます。当然、相続の手続きを行うことになるのですが、我々法律専門家が、このような遺族の方からご依頼をいただいたときに遺族の方に負担をかけないようしっかり手続きを行わなければならないと感じます。
さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、自筆証書遺言のQ&Aを書きます。自筆証書遺言とは、遺言者が直筆で書く遺言ですが、法律で要件が定めれらているため作成される場合は注意が必要です。今日はこれから自筆証書遺言を作成しようという方に必見の内容です。
自筆証書遺言のメリット・デメリット
まず、最初に自筆証書遺言のメリット・デメリットをあげたいと思います。
メリット
- 作成する場所・時間を選ばない
- ほとんど費用がかからない
- 証人がいらない
デメリット
- 作成日や署名などに不備があった場合、遺言が無効になってしまうリスクがある
- 保管場所がわからず発見されないリスクがある
- 遺言書が紛失するリスクがある
- 関係者や相続人が故意に遺言書を変造、偽造するリスクがある
このような感じでしょうか。メリットはなんといっても、自分1人で簡単に作成できるということです。一方デメリットは、遺言自体が無効になる可能性があったり、紛失、偽造、隠匿の危険があるという点です。
自筆証書遺言のポイント
では、Q&Aです。
Q1.遺言の日付で「平成26年10月吉日」という書き方で大丈夫でしょうか?
A1.上記の日付では日付を正確に特定できていませんので、遺言そのものが無効となります。日付としては算用数字でも漢数字でも有効です。また、西暦でも元号どちらでもOKです。
Q2.遺言書が複数ページになる場合は、割印(契印)しなければならないのか?
A2.答えは、必要ありません。遺言書が複数枚にわたるときでも1通の遺言書として作成されたものであることが確認されれば、その一部に日付、署名・押印がされている限り、有効な遺言となります。そのため、ホチキスで綴じたり、契印する必要はありません。しかし、複数枚の遺言書では、一部の紛失や偽造などのトラブルも発生しがちですので、ホチキスなどで綴じてから遺言書の押印に使用した印鑑と同じ印鑑で契印した方が安心です。
Q3.夫婦は共同で遺言を作れるの?
A3.答えは、作れません。法律では二人以上の者が同一の証書で遺言することができないとう規定があります。共同遺言の禁止です。なぜなら、共同遺言では一方だけが取り消すことができなくなるとか、互いの意思に影響を与えずに自由な意思での遺言ができなくなるかもしれないからです。そのため夫婦であっても別々の証書に遺言する必要があります。
Q4.遺言って鉛筆で書いてもいいの?
A4.答えはOKです。特にペンの種類まで法律で決められていません。そのため鉛筆でも赤ペンでも遺言は有効です。ただし、上記に書いているとおり、鉛筆ですと偽造・変造が容易にできてしまいますので、消すことができないボールペンなどで書くことをおすすめいたします。
今日はこの辺りにします。また次回以降もQ&Aシリーズをやりたいと思います。