エンディングノートは書いた方がよい!?
こんにちは。横浜の司法書士の加藤隆史です。今月から自転車の運転に対して厳しい取り締まりがはじまりましたね。確かに最近頻繁にニュースでイヤホンをつけて人をはねてしまったとか、信号無視で人に怪我をさせてしまったなどみますよね。自転車運転も自動車並みに気を付けなければならないことを私自身も頭に入れて自転車を運転しようと思います。
さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」では、エンディングノートは書いた方がよいかについて書きます。まずエンディングノートとは法律用語ではありません。法律にエンディングノートという言葉はでてこないです。数年前から「終活」という言葉が流行しましたね。終活の一環として、自分の半生を振り返り、自分の思い、自分の死後のこと、財産の場所や友人関係の連絡先などをノートに書きだす方がでてきました。それをエンディングノートを書くということです。このエンディングノートについて今日は私なりの考え方を述べたいと思います。
エンディングノート自体に法的な効果はない
まず、エンディングノートにはどのようなことを書くのかみていきましょう。
- 自分の名前、生年月日、血液型、住所など
- 親や兄弟との思い出、学歴、職歴、配偶者・子どもとの思い出、これまで住んだ家、場所
- 親類関係、友人関係、その連絡先など
- ペットがいる場合は、かかりつけの病院、獣医、飼育場の注意、自分が亡くなった時のこと
- 自分の預貯金、現金などの財産の置いてある場所、借入金やローンのことなど
- 生命保険、個人年金のこと
- 介護が必要になった時の対応方法
- 葬儀の場所、葬儀の形式、宗派、葬儀の規模のこと
- お墓のこと、埋葬方法
- 形見分け、遺産のこと
このようなことを書くことが多いです。つまり、自分にもし何かあったらこのノートに書いてあることを参考にしてくださいというメッセージの意味も込められています。
そして、最初に書きましたが、エンディングノートとは法律用語ではなく法律に一切出てきません。そのためエンディングノートに法的な効果はありません。法的な効果とはいわゆる強制力です。エンディングノートに自分の希望を書いたとしても遺族の方はそれにしばられることはありません。そのため、法律的な効果を生じさせるには、「遺言」を書かなければならないのです。
エンディングノートと遺言の違い
上記のとおり、遺言は法的な効力が生じますので、遺族(相続人)はその遺言の内容に縛られます。その遺言のとおりに相続しなければならないのです。一方エンディングノートは法的な効果はありません。そこが大きな違いです。
実際に遺言を作成するときは、法律で厳格な様式、形式が決まっています。その形式にのっとって作らなければ遺言に効力が生じないのです。一方エンディングノートには形式、様式はありませんので自由に作ることができます。
そのため、法律上強制力を持たせたい場合は遺言を、単に遺族に伝えるということを目的とするのであればエンデシングノートを作成するということになるかと思います。
エンディングノートは作った方がよいのか
ここからは私の考えに基づいて書きますが、エンディングノートはできれば作っておいた方がよいと考えます。エンディングノートには、遺言で書けないようなことまで書くことができます(例えば、葬儀の方法は自筆証書遺言に書いてもあまり意味がありません。なぜなら、検認した後に開封することになるので、そのときには既に葬儀が終わっているからです)。
また、エンディングノートは、亡くなる前に自分の判断能力がなくなったときも役に立ちます。そのため、エンディングノートは積極的に書いてもよいかなと思います。
ただし、遺言を作る場合は、エンディングノートとは別に作った方がよいです。明確に分けることで遺族の方も混乱することなく死後の手続きにうつれるかと思います。
今日はエンディングノートのさわりについて触れましたが、また機会があればこのノートについて書きたいと思います。