限定承認があまり利用されない理由とは!?

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。明日は司法書士試験です。受験生は今頃プレッシャーを感じているかもしれません。私は比較的リラックスして前夜もよく眠れました。国家試験のため1年に1回しか受けられず、また、合格率も2~3%といわれていますのでプレッシャーも相当だと思いますが、受験生のみなさまが自分の力を発揮できるよう祈っております。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、限定承認をテーマにします。そもそも限定承認というのはご存知でしょうか。知っている方は少ないのではないでしょうか。実は相続において限定承認を利用して手続きされる方は非常に少ないのです。相続がおきた場合、ほとんどのケースでは、前回のコラムでお話しした相続を承認するか、相続放棄をするかを選択することになります。限定承認の制度、利用の仕方、なぜ利用されないのかをみていきましょう。

限定承認とは

まず、限定承認とはどのような承認かについて説明します。限定承認とは、相続人が相続財産を承継する際にプラス財産を限度に亡くなった方の債務を弁済することを留保する承認のことです。よく分からない方もいらっしゃるかと思いますが、簡単に言いますと、亡くなった方の相続財産が、不動産や現金といったプラス財産と借金などのマイナス財産があって、どちらが多いか分からない場合、とりあえずプラス財産の範囲内でのみマイナス財産を返済できるといった制度です。つまり、プラス財産の方が多ければ、マイナス財産を返済した後に、残りを相続できるし、マイナス財産が多ければプラス財産の範囲内でしか責任を負わないということです。単純承認相続放棄の中間の制度ですね。これだけ聞くと、すごく使い勝手のよい制度だと思われる方が多いと思います。しかし、実際に利用される方は少ないです。なぜでしょうか?

限定承認は手続きが面倒

その理由は、手続きが面倒ということです。そもそも限定承認とは相続人が全員が相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所に申立をしなければなりません。「相続人全員」の同意が必要です。相続放棄は相続人一人ひとりが自分の判断で申立できますが、限定承認は相続人の内一人でも限定承認に反対の場合は申し立てることが(選択すること)できないのです。そして、申立自体は特段複雑な手続きはありません。私が冒頭で述べた「手続き」とは「申立後」の手続きのことです。

限定承認を申し立てると相続人の中から管理者が家庭裁判所から選任されます。その管理者は何をしなければならないかというと、まず相続債権者や受遺者に対して限定承認をした後5日以内に官報で「限定承認したことと一定期間内に請求の申し出をするように」公告しなければなりません。その一定期間とは2か月間です。それから、既に分かっている債権者等には各別に知らせなければなりません。そして、請求を主張してきた債権者に対して弁済等を行います。また、請求に対して支払が出来ない場合、不動産を競売して現金化する必要があります(ちなみに競売した不動産を自分で買うこともできます)。そのような手続を行っていかなければならず非常に煩雑でなおかつ管理者にも責任が課されるのでなかなか利用する方がいないのが現状です。

限定承認を利用するにあたって司法書士が管理者の代理人になることも可能

限定承認を利用しにくくしている一つのハードルが管理者の手続きの煩雑さです。この場合、司法書士がその管理者から財産管理の委任を受けて管理者の代わりにそれらの手続きを行うこともできます(ただし争訟性がある場合は140万円まで)。限定承認を選択するか迷っている方はぜひ当事務所までご相談ください。

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