遺言書を相続人が勝手に偽造した場合、他の相続人が泣きをみる!?

こんにちは、司法書士の加藤隆史です。シルバーウィークですね。私も昨日1日お休みをいただき、リフレッシュできました。9月も残りわずかですので、気を引き締めてがんばっていきます。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、遺言書の偽造についてお話しします。衝撃的なテーマですが、このような話は意外にあるものです。私の事務所にも、相続人の1人が親の遺言書を勝手に書いたなどといった相談も受けることがあります。このような遺言書が偽造された場合についてどうなるのかをお話しします。なお、遺言書の偽造は、自筆証書遺言を前提にお話しします。

遺言書の偽造は相続欠格にあたる

上記の例のように相続人の1人が親の遺言書を勝手に書いたというのは偽造にあたります。また、遺言書に加筆した場合も変造にあたります。このように遺言書を相続人が偽造、変造した場合、相続人は相続欠格者となり、民法891条によりその者は相続人たる地位を失い相続することができなくなります。また、例えば親に無理やり自分に有利な内容で遺言書を作らせた相続人も相続欠格者となります。

そのため、民法上は遺言書を偽造、変造した相続人は相続欠格者に該当し相続することができなくなることから、民法891条は他の相続人にとっては安心できる規定といえます。

相続欠格者の実務上の取扱い

しかし、実務上はそう簡単に解決しません。といいますのも、民法上の相続欠格に該当するからといって、相続欠格者抜きに遺産分割協議をすることができないからです。まずは、相続欠格の確認訴訟を行いそれが確定されなければなりません。それには時間がかかります。また、遺言書を偽造したということを立証するのも、大変な作業です。なざなら遺言書を書いたとされる親は既に亡くなっているからです。その親が偽造されたというのは話が早いですが、まさに死人に口なしです。生前の親の手紙などを筆跡鑑定していくことになりますが、遺言書が偽造であると判断するのはあくまで裁判所ですので、希望通りの結論がでるとも限らないのです。

また、遺言書を偽造した相続人がその偽造された遺言書を使用して、既に不動産や預貯金の名義書き換えをしてしまうこともあります。法務局や金融機関も基本的には形式審査ですので、遺言書に偽造した相続人が相続財産を相続すると記載されていれば、名義変更や解約手続きに応じてしまいます(もっとも、金融機関に対しては、預貯金のある金融機関に先に事情を話しておけば紛争処理が確定するまで解約手続きが凍結されるところもあります)。

このように、相続欠格者にあたるからといって、相続手続きがスムーズにいくわけではないのです。

相続欠格者の子どもが代襲相続

また、一つ大きな問題があります。それは代襲相続です。仮に裁判を行い、偽造した相続人の相続欠格が確定して相続権を失った場合、その相続権は、偽造した相続人の子にいくのです。ここは、相続放棄の場合と異なります。

何がいいたいかと申しますと、相続欠格者がもし相続できないとしても、自分の子が相続するため結果として自分の最低限の相続分は自分の家族で確保できてしまうということです。親=子と考えると苦労して相続欠格の裁判をしても水の泡となるのです。このような実務上の運用があることをぜひ知っておいてください。

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