相続における勘違いしやすい数次相続・遺留分について

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。12月に入ってから業務多忙のためコラムを更新することができませんでした。申し訳ございませんでした。いつの間にかクリスマスも終わり、年末年始に突入です。今年の振り返りをして来年よりよい1年になるようしっかり準備します。さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、数次相続と遺留分についてです。最近は、相続の相談をされる方もよく勉強されていて数次相続や遺留分についても知っている方もいらっしゃいます。インターネットや関連書籍など調べる媒体が増えているからでしょう。ただ、この2点については、勉強されている方でも勘違いされて覚えているということがよくあります。今日はこの2点に絞って解説していきます。

数次相続と代襲相続

数次相続は代襲相続とごっちゃになって覚えている方が多いです。数次相続とは、被相続人が亡くなった後に相続人が亡くなり、その地位を相続人の相続人が承継するというものです。一方代襲相続とは、被相続人が亡くなる前に相続人が亡くなっている場合で、相続人の直系卑属(子のこと)がその相続人を代襲して相続するというものです。活字ではなかなか分かりずらいかもしれませんが、ポイントは、被相続人が亡くなる「前」か「後」かです。「前」であれば数次相続、「後」であれば代襲相続です。

そして、勘違いしやすい点として、誰が被相続人の遺産分割協議に関係するのかです。代襲相続の場合は、被相続人の代わりに相続人の直系卑属が代襲相続することになりますので、例えば、おじいちゃんが亡くなる前に、相続人である長男が亡くなった場合は、その長男の子が長男を代襲して相続人になり、その子が遺産分割協議に参加することになります。数次相続の場合は、おじいちゃんが亡くなり相続手続きを放置していているときに長男が亡くなった場合です。この場合は長男の相続人である配偶者・奥さんと子が長男の相続する権利を承継して被相続人であるおじいちゃんの遺産分割協議に参加することになります。長男の配偶者も関係するというところがポイントです。もちろん関係者の内一人でも遺産分割協議の内容に反対すれば遺産分割が成立しません。そのため、数次相続がおこっている遺産分割協議の場合は、話し合いがまとまわらないケースも多いです。被相続人が亡くなったら数次相続が起こらないうちに早めに相続手続きをすることをおすすめします。

遺留分を侵害している遺言も成立する

次に遺留分です。遺留分についても相談者のみなさまはよく勉強をされていて知っている方も多いです。遺留分とは家族の最低限度の生活資本の確保という目的のために制定されています。つまり、遺言で財産を第三者に全て遺贈されてしまった場合でも、配偶者や子は被相続人の財産が生活の基盤となっていることも多いので、最低限の取り分を取り返せるようにしたのです。つまり、「遺留分を侵害する」とは遺言という存在があって初めてでてきます。遺言がなく通常相続の場合、相続人は法定相続分については相続する権利がありますので、遺留分侵害というのは起こらないのです。あくまで遺言で相続する方法が決定されている場面ででてきます。

ここで、遺留分について勘違いしやすいポイントですが、遺留分を侵害している内容の遺言でも法律的に有効ということです。いいかえれば、遺留分を侵害した遺言も作れるということです。もちろん遺留分請求対策として、遺留分を侵害しないように遺言を作ることもあります。ただ、遺留分を侵害しているからといって遺言が無効になるわけではありません。遺留分を侵害されて、その相続人が遺留分減殺請求をして初めて遺留分の問題がおこるのです。相続人が遺留分減殺請求をしないのであればその遺言どおり遺産を分配することができるのです。つまり、遺言を作る場合は、相続関係から遺留分減殺請求がありそうか、はたまたないのかについて考慮して作成することをおすすめします。

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