相続税法の改正①
こんにちは。司法書士の加藤隆史です。選挙も終わり、政局もいい方向に変わっていくといいですね。
さて、世間では消費税増税が騒がれてますが、みなさんが注目されていない増税があります。それは、「相続税」です。コラム「相続・遺言のポイント」では、今回から複数回にわかって「相続税」について書いていきます。日頃、みなさんは意識されていない相続税が、平成25年度改正で大きく変わろうとしています。この改正は、一言でいえば増税です(ただし、未成年者控除・障碍者控除など一部減税の効果がある改正もあります)。今まで相続税がかからないと思っている人も課税される可能性がでてきますので、改正点を理解したうえで相続税対策をとっていく必要があります。
相続税とは
相続税とは、国税(国に支払う税金)にあたり、登録免許税や消費税と同じ区分です。具体的には、誰かが亡くなった場合に、その亡くなった方の財産を課税標準として、相続税を計算し、相続人が相続税を納めるということになります。相続人は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内に税務署に相続税の申告をして、納税しなければなりません。
相続税に無縁の人は多い
今まで、ほとんどの方は、相続税とは無縁だったと思います。国税庁の統計でも、相続税を納めている方は、約5%で、95%の方は相続税を支払ってこなかったのです。それは、平成6年の相続税の改正により、基礎控除が拡大されたため、相続財産が控除されて、相続税が課税されなかったのです。しかし、平成25年度の改正では、その基礎控除が約6割引き下げられるため、多くの世帯で相続税が生じる可能性が出てきたわけです。
平成25年度相続税改正の概要
増税に関する改正点は下記のとおりです。
- 相続税の基礎控除の引き下げ
- 死亡保険金の基礎控除の引き下げ
- 相続税率の最高税率の引き上げ
※ なお、平成22年度改正で小規模宅地の特例について、適用要件が厳格化されています。
逆に減税に関する改正点は下記のとおりです。
- 未成年者控除の引き上げ
- 障害者控除の引き上げ
次回では、上記改正点を具体的にみていきます。