他の相続人分の相続税を負担することがあるの!?
こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。サッカーワールドカップブラジル大会!日本は現在1分1敗、後がありません。残り1試合の相手は、2連勝のコロンビア!かなり厳しいですね。ドイツワールドカップの状況に似ています。しかし、なんとかグループリーグ突破できることを期待してます!がんばれ、日本!
ということで、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、相続税って他の相続人分も負担することがあるの!?をテーマにします。平成27年1月以降、ついに相続税の基礎控除が引き下げられ、今まで相続税に無縁だった人も申告、納税が必要になるかもしれません。そして、相続税は最終的には遺産を受け取った割合で各相続人が負担することになります。しかし、他の相続人が自分の負担分について納税しない場合は、他の相続人にどのような影響があるのでしょうか。
相続税は連帯納付義務がある
上記の場合、結論から言いますと、相続人の内1人が相続税を払えなかった場合(払わなかった場合)には、他の相続人が代わりに相続税を負担しなければなりません。結構、これについて知らない方がいらっしゃいます。自分の負担する相続税を払ったからもう関係ないというわけにはいかないのです。厳しいですよね。税務署もなんとかして相続税を支払わせようとしますからね。ただし、次の場合は連帯して支払う義務を負わないことになります。
- 申告期限から5年を経過した場合
- 延納の許可を受けた場合
- 納税猶予の適用を受けた場合
1の申告期限から5年を経過した場合とは、相続税の申告書の提出期限(相続を知ってから10か月)から5年を経過する日までに税務署長が支払いをしなかった相続人以外の相続人に対して、一定の通知書を発していない場合は支払を免れるということです。
2の延納の許可を受けた場合とは、相続税を支払うべき相続人が延納の許可を受けた場合については、その分について他の相続人が支払うことはありません。
3の納税猶予の適用を受けた場合とは、相続税を支払うべき相続人が相続税について一定の納税猶予の適用を受けた場合については、その納税が猶予された相続税は負担しないということです。
相続税を支払わない方がいたら他の相続人はすぐに請求されるの!?
この連帯納税義務は、相続人の内1名が相続税を払えない場合でも直ちに相続人に税務署から相続税の支払い請求を受けることはありません。その滞納している相続人の資力を調査し、差押えなどをした結果、税務署が納税できないという判断を下した場合に初めて他の相続人に請求がくるのです。
税理士会では連帯納税義務を反対している
実はこの相続税の連帯納付義務については税理士会から税務当局に反対しているのです。上記の1~3の例外規定は平成24年度の税制改正で認められたものでして、それ以前は例外はありませんでした。完全廃止はまだですが、相続人の立場としては連帯納税義務について早く廃止になってほしいですよね。
今日のコラムでいいたかったことは、相続税の申告をするときには、相続人全員の納付までしっかり見届ける必要があるということです。