献体希望の方のための遺言の書き方
こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。猛暑、台風で大変な一週間でした。本当に近年、日本の気候が不安定になってきていると思います。これも温暖化等が原因なんでしょうか。とにかく、8月の第1週みなさまお疲れさまでした。私も先日行ってきましたが、この季節のビアガーデンは最高ですね。おいしいお酒を飲むために、日々の仕事がんばりましょうね。
さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」のテーマは「献体」です。世の中の医療の向上のために、死亡後の自分の体をつかってもらおうということです。あまり、多くはありませんが実際に献体希望の方もいらっしゃいます。献体といっても自分の死後のことですので、どのように手続きするのがよいか説明いたします。
献体を行うには
そもそも献体とはなんでしょうか!?献体とは医学または歯学の大学における解剖学の教育・研究に役立たせるため、自分の遺体を無条件・無報酬で提供することです。その献体を行うためには、生前に献体したい大学またはこれに関連した団体等に氏名等を登録しておくことが必要です。実際に献体の申し込みは公益財団法人献体篤志家協会(献体の会)や医科、歯科の大学へ申し込みます(直接大学病院に申し込むのではありません)。
次に公益財団法人献体篤志家協会の場合で説明します。申し込みを行うと大学等から申込書が送られてきます。そこに必要事項と必要書類をそえて返送することで登録します。なお、献体登録には肉親の同意が必要です。登録する際に肉親の同意書が必要なのです。肉親の範囲ですが、登録先により異なる可能性もありますので、事前に確認が必要ですが、配偶者、親、兄弟姉妹です。登録した後もできるだけ多くの人たちの理解を得られるよう伝えておくことがベストです。
そして、申し込みが完了すると献体登録証がもらえます。そこには、献体先の大学名と死亡時の連絡先が書かれます。献体する方が死亡した時に、遺族の方がその登録証をみて登録証に書かれた献体先大学へ連絡をします。通夜、告別式などの葬儀は通常どおり行うことができます。葬儀後は通常火葬場へ向かうのですが、火葬場ではなく献体先の大学へ運ばれます。そして、解剖後、大学側で火葬して遺骨が遺族へ戻されます。遺族に遺骨が戻ってくる時期ですが、通常1~2年、長いと3年以上かかるケースもあります。
献体希望の方のための遺言書の書き方
以上で説明したとおりのことを生前に行うので献体につき遺言書に記載しなければならないわけではありません。ただし、遺言において遺言者の献体の意思を明らかにすることもできます。記載例を挙げます。
- 遺言者は、その死後、遺言者の身体を医学に役立てるため○○医科大学に献体する。なお、遺言者は同大学に献体登録を済ませているので、同大学による献体の同意を求められた場合、遺言者の親族はみなこれに同意するように希望する。
- 遺言者の遺骨は遺言者の妻○○に引き渡してください。(または「○○医科大学に一任する」)
このような遺言を作成する場合でも事前に親族の同意を得ておく必要があります。また、遺骨の取り扱いについても言及しておいた方がよいでしょう。