家族信託において受託者は誰が適任か!?

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。3月といえば卒業式。私には長男、二男がいますが、卒園式、卒業式には泣いてしまうのかなと思います。そして3月は別れの時期でもありますね。長男も転園するので今までのお友達と別れなければなりません。少し心配ですが、新しい保育園でもたくさんお友達をつくってほしいと願ってます。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、家族信託において受託者は誰が適任なのかということについてお話しします。まず、おさらいですが、信託とは、自分の財産を一定の目的のために信頼できる方(自分も含む・自己信託)に託す制度です。主に信託銀行が信託業務を行っていますが、家族信託とはあくまで家族・個人間での信託です。信託銀行、信託会社は信託を受けて収益をあげそれを受益者に還元して自社も利益を受けるという目的ですが、家族信託では、あくまでも家族のために利用する制度であって営利目的ではありません。この家族信託が、新たな財産管理・遺産承継のスキームとして注目されています。本日は、この信託財産を受け、それを利用する受託者がどのような方が適任かについてみていきます。

受託者は親族を中心に考える

まず、受託者は未成年者、成年被後見人、被保佐人を除いて原則として個人、法人でもなれます(信託法上)。そして、家族信託における受託者は信頼できる方でなければなりません。そのため、まずは、親族を受託者にすることを考えます。また、その受託者が勝手なことをしないために信託契約(遺言信託)において信託監督人や受益者代理人などを定めることも検討します。実際の実務では、ほとんどのケースで親族の方が受託者となります。その受託者に何かあったときのために新受託者の規定も信託契約に定めることができます。

親亡き後問題(知的障害者、精神障害者などのお子さんをもつ親などが亡くなった後の問題)の解決のため、家族信託を利用する場合でも障害者をもつ親の親族の方が受託者になるということが多いです。

司法書士や弁護士のような士業は受託者になれるのか!?

上記のようにまずは親族を受託者とすることを考えますが、実際の実務では、受託者となる方がいないということもよくあります。親戚や頼れる方がいないという場合はどうしたらよいのでしょうか。

信託の比較対象として成年後見がありますが、成年後見人には、職業後見人として司法書士や弁護士が就任しています。それでは、これらの士業は受託者に就任できるのでしょうか。現時点では「就任できない」と回答します。これは受託者が業(継続的)として行う場合は、国の許可がなければ受託者になれないからです(信託銀行や信託会社は許可を得て営業しています)。いわゆる信託業法の壁です。そのため業務として司法書士や弁護士が受託者に就任することは、信託業法に違反するためできないのです。しかし、業として行わないのであれば、司法書士や弁護士も受託者になれると言われています。ただ、法令によりはっきりしていない部分でもありますので、現時点においてはこれら士業が受託者に就任することは難しいと考えた方がよさそうです。今後、このような規制が緩和されることを望みます。ちなみに、司法書士や弁護士は信託監督人、受益者代理人にはなれますのでご注意を。

将来的には法人が受託者として受け皿になるのか

ここからは私個人の考えですが、将来の日本においてはこの受託者は個人より法人が増えてくるのではないかと思ってます。ここでまた成年後見と比較しますが、成年後見人は判断能力が衰えてからその人が亡くなるときまでが業務期間となるため個人でも対応できます。しかし、信託は違います。受益者連続信託など二世代、三世代と比較的長期にわたって継続するケースが多いです。そのため、受託者が個人の場合ですと、受託者自身の死亡や判断能力の低下により受託者を交代せざるをえなくなります。その都度受託者を交代させるていくと引継ぎまでに時間がかかりますし、やはり信託にかかわる方からは、最初から分かっている方を受託者としたいという思いもあるでしょう。

以上から現時点では個人が受託者に就任することが多いですが、将来的には法令の規制緩和がされて、法人が受託者になることが考えられます。家族信託の受託者の受け皿としては、一般社団法人または司法書士法人などが考えられますが、これらの団体、法人が受託者となり、永続的に信託業務をしていく形態になっていくのかなと思います。

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