初めて相続を経験される方へパート4~いざ遺産分割協議へ~
こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。ゴールデンウィークはいかがでしたか!?私は、妻の実家に帰省してたっぷり英気を養ってきました。ゴールデンウィーク明けから全力で業務に取り組んでおります。
さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、シリーズでお届けしている「初めて相続を経験される方へ」ですが、遺産分割協議についてお話しします。このコラムでも遺産分割協議については書いてきましたが、今日はあらためて遺産分割とはなんぞやというところから説明したいと思います。
遺産分割協議とは
そもそも「遺産分割」とは、読んで字のごとく遺産を分けることです。遺産とは前回のコラムで説明したプラスの相続財産です(負債は除きます)。誰が遺産を分けるかというと「相続人」です。相続人が相続財産を分ける、それが「遺産分割」なのです。そこで、遺産を分けるには、相続人全員で遺産をどのように分けるか話し合いをしなければなりません。それが、「遺産分割協議」です。
そして、遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。相続人が1人でも欠けているとその協議は無効です。つまりなかったことになってしまうのです。そのために、前々回のコラムで説明しました相続人調査というのが重要になってきます。
相続人の内一部が行方不明、判断能力が低下している場合
先ほど遺産分割協議は相続人全員で行う必要があると説明しました。その「相続人」には行方不明者も含まれます。そのため、行方不明の方がいるからといってその方を無視して遺産分割協議を行うことはできないのです。といっても、行方不明ということですので、探しようがない、どうしようという方のために不在者財産管理制度というものがあります。つまり行方不明者の財産を管理する人、不在者財産管理人を家庭裁判所に選任してもらって、その方が代わりに遺産分割協議を行うということができます。
また、相続人の内一部が判断能力が低下している方がいる場合もそのまま遺産分割協議をすすめることができません。なぜなら、遺産分割協議とは財産をどのように分けるか決める重要な法律行為ですので、判断能力が低下している方が協議に参加した場合でもその遺産分割協議は無効となってしまいます。この場合は、成年後見制度を利用します。家庭裁判所に成年後見の申立を行い、成年後見人等を選任してもらってからその後見人が代わりに遺産分割協議に参加することになります。
上記のようなケースでは遺産分割協議を行うまでに手続きしなければなりませんので、できるだけお早めに申立手続きをしなければならないでしょう。
相続人となる方が死亡している場合は
そして、遺産分割協議を行おうと思っていたら相続人になる方がなくなってしまったということもあるでしょう。遺産分割協議を行うまで時間が経過しているケースでよくみうけられます。法律的には「数次相続」が生じているといいます。
この場合は、その亡くなった相続人は無視してもよいのか!?そうではありませんね。その「亡くなった方の相続人」が亡くなった方の代わりに遺産分割協議に参加することになるのです。そのため、相続関係者が多くなるケースがあります。相続関係者が多いとそれだけ色々な意見がでてくるため遺産分割協議がまとまりにくくなってしまいますね。だから遺産分割協議は早めに行う、これが鉄則なのです。
ということで、今日は遺産分割協議のさわりについて説明してきました。次回は遺産分割の中身をお話しします。