映像を活用した遺言は、法的な効果はないけど相続対策になる!
こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。今日から8月です。学生時代から10年以上経ちましたが、8月は夏休みというイメージがまだのこっています。今の私は8月に夏休みはありません。家族との時間はもちろんとりますが、この8月もノンストップでかけぬけます!
さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、遺言書の他に映像を活用して相続対策するというテーマでお話ししたいと思います。最近参加した異業種交流会である行政書士さんがサービスの一環として、遺言に映像を活用させるという話を伺いました。とても、素晴らしいアイデアだと思いましたが、どのように活用するのか、また注意点はあるのでしょうか!?
遺言書は書面でなければならない
まず、確認事項としまして、遺言書は書面にて遺さなければなりません。民法第960条には「遺言は、この法律に定める方式に従わなければすることができない」と規定があり、例えば自分で書く遺言(自筆証書遺言)は、民法第968条に「自筆証書によって遺言をするには、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」とされていることから、映像では法的な効力のある遺言を遺すことはできないのです。ちなみに例外的に口頭で遺言をする、船舶遭難者遺言もありますが、映像で遺せるという例外規定は法律に定めてありません。
つまり、亡くなる方が事前にビデオ等で録画していて、「自分の不動産を長男に相続させます」と言っていたとしてもそれは法律的に無効となってしまうのです。注意しなければならないのは、法律的な効果がある遺言書はあくまで書面で遺すことです。
映像を使った遺言は相続対策になる
映像を活用した遺言は無効となる説明をしました。しかし、法的に無効になるだけで、遺していけないということはありません。むしろ、私は相続対策になると考えます。なぜなら、映像を使うことで遺された相続人に自分の気持ちが届くからです。遺言書でも付言事項といって法律的な効果はありませんが自分の気持ちを書くことができます。生前の感謝の気持ちや財産分配の理由などを書いておくことで、相続人が争うことなくその遺言書どおりに相続することになります。ただやはり手紙よりも映像の方が相続人にあたえるインパクトは大きいでしょう。映像というのはそのような効果があります。
遺言書に加えて映像を遺す
以上説明してきましたとおり私が提案する相続対策の一つとして、遺言を作成するのにプラスして映像を遺すという対策です。遺言は公正証書遺言をおすすめいします。公正証書遺言が入った封筒に一緒にビデオテープ等をいれておきましょう。そうすることでなぜこのような遺言をのこしたのか、亡くなった方の生前の想いが相続人に伝わり、相続争いが減るかもしれません。
遺言とエンディングノートというサービスを提供している事務所さんはいらっしゃいますが、映像を活用するサービスはまだまだ少ないと思いますので、当事務所でもサービスとして取り入れたいと思います。