10年前と今の相続実務の違い
こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。8月も下旬に突入し、あっという間に9月になってしまいますね。本当に月日が経つのがあっという間です。
さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、10年前と今の相続実務の違いです。私は、今から10年ほど前に司法書士となり、相続実務に携わってきました。相続実務について今から10年前と今ではどのような違いがあるのでしょうか。本日はこれをテーマに取り上げます。
今は相続に関する情報があふれている
最近思うことですが、ご相談に来られるお客様が相続に関してかなり詳しいということです。今はネットや書籍で相続に関する情報がありふれている時代です。あらかじめ勉強されて相談に来られる方が多いのかなと思います。10年前はそのようなネットや書籍の質、量とも今より整っていませんでしたので、初めてご相談にこられる方は全てお任せでお願いしますという方もいらっしゃいましたね。本当にみなさま詳しいので、相談時間は短くなっているかもしれません。まあ、みなさま情報はもっておりますが、正しい知識ではなかったり、実務上の扱いまでは詳しくありません(当然ですが)ので、そのあたりについて相続専門家の意義があるのかなと思います。
金融機関での相続手続き
昔は、司法書士がお客様の代理人で預貯金を相続により解約しようとしても、窓口の人は良く分かっていらっしゃらない方が非常に多かったです。ある日は、この書類が必要だと言われ、別の日に伺うとやはりいらなかったということも多かったですね。今はしっかりマニュアル化されていて、金融機関にお一人は相続部門の方がいらっしゃるくらいになりました。私としましては、金融機関の手続きが非常にスムーズになったので、非常に助かっています。
相続に関わる事業者が増えた
昔は、あまり相続についてクローズアップされていませんでした。司法書士は、自宅の不動産は相続登記手続きを行うため、相続分野にかかわることは多かったですが。一方、今は弁護士さん、税理士さんを初めてとする各士業、金融機関、不動産会社、葬儀屋などあらゆる事業者が相続にまつわるサービスを行うことをアピールしています。あらゆる事業者が相続案件に参入したのは、団塊の世代が高齢者となりこれからますます相続案件が増えること、相続税法が改正されて基礎控除が下がったこと、景気に左右されないことなどが理由ですかね。
とにかく、ものすごい数の事業者が相続案件に携わるようになりますので、お客様としては誰に頼むのかを選択する悩みはでてくるかなと思います。
権利意識が高まった?
これは私の受けている感じですが、人それぞれの権利意識が高まった感じがします。上記で説明しましたが、今は相続に関する情報があふれていますので、相続人が権利を主張することも増えている感じがするのです。今でも地方は長男が相続するものという昔の風習がのこっているところもあるかと思いますが、都会ではあまりそのような流れで相続することはなくなってきたかもしれません。こうなると益々、事前の対策、相続対策が重要になってきます。相続人間で揉める前にまずはしっかり対策しなければならないですね。