家族信託はどのようなときに活用できるの!?

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。本日はとてもよい天気です。1年の中で一番過ごしやすいのではないでしょうか。年末もだんだん近づいてきていますので、体調管理に気を付けてがんばっていきましょう。

さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」はこれから家族信託の手続きを行うにあたっておさえておくべきポイントについて書きます。最近、当事務所に家族信託の相談が増えてきています。どこかのセミナーに参加してきて実際に家族信託やってみたいというご相談や、制度が分かりづらいので教えてほしいというご相談です。家族信託というのは法律用語ではありませんが、用語から発するイメージも良いですよね。今後ますます家族信託の手続きを希望される方が増えてくるでしょう。

家族信託とは

まず、家族信託とはどのようなことかですが、親(委託者)が、子ども(受託者)に対して信託財産(親の不動産や預貯金など)を信託することで、子どもがその信託財産を活用、処分等を行い、そこから出る利益を親(受益者)に還元するというものです。もし親が認知症になってしまったらとか身体が不自由になって行動するのが大変というときのために、あらかじめ親子間で信託契約を結び、子が受託者という立場(自己の名)でその財産を管理、活用、処分して親の介護費や施設入所費にあてるなど、親の福祉のためによく利用されています。

例えば、アパート経営を始めるというときも家族信託を活用できます。

実際に親の土地があり、遊休財産となっている。その土地を利用して収益をあげて親の生活費にあてよう。しかし親の年齢から考えて今から新しく銀行から借り入れして(ローンが下りるか分からないし)アパートを建て、その後のアパートの管理をやっていくことは大変だ。息子に代わりにやってくれそうだ。ただ、自分の財産をタダであげてしまうと多額の贈与税などがかかってきてしまう。何か良い方法はないか!?

このような例で家族信託を活用する方法があります。親の土地を子どもに信託して、子が銀行から借り入れをおこし、アパートを建て(この場合のアパート建物は信託財産に含まれます)、そこから賃貸をし収益について親の生活費、介護費にあてるというものです。この場合、土地の名義は子名義に移動しますが、贈与にはあたりませんので贈与税はかからず、また不動産取得税もかからないといわれています。また、親の財産を利用してその利益を還元するのも親になりますので、その点においても贈与税はかからないといわれています。

また、家族信託の大きな特徴として財産管理の他に財産承継機能もあります。上記の例でいえば、親子で信託契約をするときに、親が亡くなった時に信託契約は終了すると定めておきます。信託契約が終了した後の財産の帰属先を受託者である子にしておくこともできます(利益相反を許容する内容を契約にもりこむ)。そして親が亡くなった時に信託登記を抹消して受託者である子が完全な所有権者となるというようなことです。

名義は変わるが、所有権が完全に移転するわけではない

信託では、親の財産の名義が受託者である子へ変わるという点が大きなポイントです。実際にこの点があるから親が家族信託の手続きを行うことをやめることも多いです。やはり親にとって自分の財産の名義が変わってしまうのは抵抗があるようです。ただ、名義は変わっても完全に所有権が移転するわけではありません。あくまで信託契約で定めた目的の範囲内でしか受託者である子はその財産を活用、処分できません。不安であれば信託監督人を定めることもできます。

また、よくある質問として預貯金を信託してしまうと自分で使えなくなってしまうというのがあります。この場合は、自分で使う預金は信託財産にしないということで対応できます。必ずしもすべての財産を信託しなければならないわけではありません。この点について意外と気づかれていないご相談者様もいらっしゃいます。

不動産は信託登記、預貯金は信託口名義の口座開設

この財産は信託財産であるということを公示する必要があります。そのため、不動産であれば信託登記という登記を行います。不動産の登記簿には信託目録がついていて、その中に信託内容が記載されています。また、預貯金については各金融機関に信託口名義の口座を開設してもらうように手配します。金融機関もまだまだ家族信託について認識されていませんので、窓口対応等かなり手間取ってしまうことも多いでしょう。

家族信託はとても便利で活用できる制度ですが、世間にまだまだ認知されていないという弱点もあるのです。

 

 

 

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