廃除
廃除とは、推定相続人に欠格事由ほどではないが、被相続人からみて相続させたくないと考えるような非行があり、かつ、その者に相続させることを発しない場合に、家庭裁判所の審判又は調停によって、推定相続人の相続権を剥奪する制度です。推定相続人を廃除するには、①被相続人に対する虐待、②被相続人に対する重大な侮辱、③その他の著しい非行が要件となります。①と②については、被相続人に対して行われることが必要ですが、③につきましては、必ずしも被相続人に対して行われたものに限定されないと解されています。
また、廃除の対象となる相続人は、遺留分を有する相続人でありますので、兄弟姉妹は対象外です。
廃除の方法には、被相続人が生前に廃除する方法と遺言で廃除する方法があります。
生前に廃除する方法とは、被相続人の住所地の家庭裁判所に廃除の審判又は調停を申立てます。この場合、家庭裁判所による廃除の審判の確定又は調停の成立によって、廃除の効力が生じます。その後、被相続人は、審判の確定又は調停の成立のときから10日以内に廃除の届出を役所に提出しなければなりません。そして、廃除された相続人の戸籍に廃除事項が記録されます。
一方、遺言で廃除する場合は、被相続人が申立てできないため、遺言執行者が申立てを行います。そのため、遺言書に遺言執行者の定めがない場合は、相続人等の利害関係者が裁判所に遺言執行者選任の申立てを行う必要があります。
なお、廃除も相続欠格と同様に、当然に相続権を失いますが、相続欠格と異なり、遺贈は受けることができます。