父が所有している土地の上に、住宅ローンを利用して息子の私名義の建物を建てたいが、父が認知症で判断能力がほとんどありません。成年後見制度を利用して、銀行から住宅ローンを組むことはできますか?
A.事前に家庭裁判所へ事情説明、打ち合わせを行い、当該事例の場合、住宅ローンを利用できるのか判断を仰ぎましょう。
認知症の方で判断能力がほとんどない場合は、本人が契約を行うことはできません。そのため住宅ローンを利用する場合、父親が抵当権設定契約を行わなければなりませんが、当該事例の場合は、住宅ローンの契約自体ができません(銀行は住宅ローンの契約の条件として必ず土地、建物に抵当権を設定します)。
そのために、成年後見人を家庭裁判所に選任して、成年後見人が当該手続きを行うことになりますが、居住用の不動産の処分を行うには、家庭裁判所の許可が必要です。成年後見人は、判断能力を喪失、低下した人に代わって財産管理を行う権限しかありませんので、処分行為をするには、家庭裁判所の許可がなければできないのです(土地に抵当権設定をすることは、処分行為にあたります)。
当該事例の場合は、息子が家を建築し、父親と一緒に住んで面倒をみることや、一緒に住むためにバリアフリーの家を建築したなどの理由があれば、裁判所から処分行為の許可が下りる可能性があります。
また、息子が後見人に選任されて、住宅ローンの債務者となった場合は、父親と利益相反しますので、後見人である息子が土地の抵当権設定契約をすることができず、特別代理人を選任して、その特別代理人が土地の抵当権設定契約をすることになります。
当事務所では、上記のような成年後見に関するご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。