長く放置された抵当権を抹消するのは大変です!

こんにちは、横浜の司法書士の加藤隆史です。梅雨の時期ですが晴れの日も多く水不足が心配ですね。さて、本日のコラム「相続・遺言のポイント」は、長く放置された抵当権を抹消することが大変であるというテーマで書かせていただきます。不動産登記の世界ではお金を全て返して弁済したとしてもその担保として不動産に抵当権がつけられていた場合、法務局が抹消の手続きをしてくれることはありません。住宅ローンなどの借入金を完済した後は、必要な書類を集め抵当権抹消登記を法務局に申請する必要があります。しかし、なかには完済したにもかかわらず、そのまま抵当権抹消登記の手続きをしないで放置されている不動産もあります。長く放置されている場合、当然、抵当権者に相続が発生している場合があります。そのような状況になると抵当権を抹消することが難しくなってきます。本日はその辺りについてお話しします。

抵当権を抹消しなければ不動産を活用することができない

では、なぜ抵当権の抹消登記をしなければならないのか。法的には、借入金を完済すれば抵当権としての効力は失われます。つまり、その抵当権を行使して競売にかけることはできなくなるのです。そうであるならばそのまま抵当権を残していても問題がないようにみえますが、実はそうではありません。実体として抵当権が消滅していても登記上抵当権が残っている場合は、銀行から融資を組むことはできません。銀行としては登記上抵当権が残っている以上、先に順位を確保されているので自分たちが後順位になってしまうため、そのような状態では通常融資をしません。つまり、銀行が融資をしない以上、不動産を売却することは難しいです。そもそも担保付の不動産を買う方はまずいないでしょう。売却だけではなく、家の建て替えなどもできません。

抵当権は実体が消滅していても、実務上は抵当権が残っているとみられるため不動産の活用が難しいのです。

抵当権抹消登記に期限はない

抵当権の抹消が放置される原因としまして、抵当権の抹消登記には期限がないことがあげられます。そもそも不動産登記(権利登記)にはいつまでに手続きしなければならないという決まりはないのです。そのため長期間放置される抵当権がでてきます。その長期間放置された抵当権を休眠担保権といいます。休眠担保権といいますが、期間は様々で昭和初期、大正、明治の抵当権もあります。明治時代に抵当権を設定した方はどうなっているのでしょうか!?

抵当権者が死亡していることが多い

明治や大正時代に抵当権を設定しているということは、その抵当権者が死亡している可能性が非常に高いです。また、1代だけでなく2代、3代と代替わりしているでしょう。つまり、抵当権者に相続が発生しているのです。この場合、抵当権を抹消するには、抵当権者の相続人の協力を得なければなりません。まずは相続調査が非常に大変な作業になります。なおかつその相続人の協力を得られない場合は、原則としてその相続人に対して抵当権抹消登記請求訴訟を起こさなければなりません。

抵当権抹消登記は登記の類型としては簡便な手続きに入り、司法書士の登記費用も高くありませんが、長年放置されることで手続きが非常に難しくなりその分、司法書士に依頼した場合は費用も高くなってしまいます。次回のブログではこのような休眠担保権の抹消について具体的にお話ししていきます。

 

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